18 慌ててきつく目を閉じた。 もう二度と長太郎と笑い合えないのだろう。 頭の中が暗く深い絶望感に支配される。 すると顔を覆っていた腕を外された。 そのまま唇に、温かくて、ふにっと柔らかいものが押し付けられた。 「……!?」 びっくりして目を開けると、ピントが合わないくらい近くに長太郎の顔があって、俺と唇がくっついていた。 「んっ……ふがっ!」 なに!? なんで!!? 「んぐっ……ちょっ、離れろください……はっ!?」 なんのサービスだ!!? 最後だからって、餞別のつもりなのか!!! 「どっちも違いますって。……好きだって分かってくれないからです。宍戸さんの、ばか」 …………か、かわいい……。 とうとう忍足の得意ジャンルまで……。 「ちゃんと聞いて下さいっ」 「ご、ごめんっ!聞いてる、聞いてるけど。頼むから無視してくれ」 驚いた拍子に、俺は長太郎と会話できている。 で、でも、え? なにこれ? どういうこと? 「俺、宍戸さんが好きなんです」 好きって、もしかして、『アッー!』ってこと? 「『あーっ!』て何ですか?」 長太郎ってホモなのか? 「……分からないです。でも性別とか関係なく、宍戸さんが好きなんです。俺だって宍戸さんの肌に頬ずりしたり、唇にちゅってしたりしたいです」 いつから聞いてたんだよ! ああ、もう死にたい……。 「余計なこと言ってすみません。でも、俺達、同じ気持ちってことですよね?」 同じ? 「だから、両想いって思っても、いいんですよね?」 え……両想い? 「びっくりさせたならすみません。だけど、ああ。俺、うれしくて。もう一度キスしてもいいでしょうか」 頬を赤らめた長太郎の顔が接近してくる。 そのまま俺は天使と二度目のキスをした。 両想いってなんだ。 えっ、俺ホモだったの? 分からない。 そういうふうに考えたことはなかった。 でも、俺は長太郎を愛している。 「宍戸さん……嬉しい……」 「だっ、き、聞くなって!」 俺が抵抗しようとすると、腕を押さえつけてくる。 さらに唇を割って舌が入ってきてしまう。 なっ、なんだっ、ぬるぬるする……! えええここここれってデデデディープキス!? まずい! 心の声が筒抜けのまま、理性の効かない状態になるのはまずいぞ。 っつーか!! 俺、長太郎と恋人になることOKしてないんだけど!!? 前 次 Text | Top |