◇誕生日 | ナノ



10

俺は布団の上をゴロゴロすると、身体をくねらせ擦り付けた。
フフ、今の妄想に悶えたのもあるけど、どうせ一緒に寝られないからこうしてマーキングしておくんだよ。
って俺は猫か。
いやもういっそ長太郎の猫になりたいぜ〜。
おお、この設定萌えるかも。
「宍戸さん、お待たせしました」
濡れた髪をタオルで拭きながら、長太郎が戻ってきた。
さっきまでのニヤケ面を一瞬で引っ込めて、俺は待ちくたびれたかのように伸びをした。
「んぅ〜。おう、おかえり」
というか待ちくたびれてないしな。長太郎のベット満喫してたらあっという間だったからな!
風呂上がりの無防備な姿、いいなぁ。
もっとこっちに来ねーかな。
「……となり、失礼しますね」
「おう」
き、来た!
タオルを肩にかけたハーフパンツ姿の長太郎は、トコトコと俺の脇へやってきて、ころんと寝転んだ。
ふわり、と鳳家のボディソープの香りが鼻をくすぐる。
うわあぁぁ……せっけんの匂いなのにくらくらしちまいそうだ〜〜!
「今日、俺、すっごく幸せでした」
「いや、誕生日なの俺の方じゃん」
「そうなんですけどね。なんだか俺の方がいっぱい幸せもらっちゃった気分なんです。宍戸さんがたくさん喋ってくれましたし」
「え?俺、今日そんな喋ったっけ」
「あ……えっと、そうですね、そんな気がしただけかもしれないですね、あはは。――ああ、そうだ!日付変わる前にプレゼント渡したいです!」
「お、おう」
なんか態度が不自然な気もしたけど、気のせいかな。
長太郎はクローゼットから紙袋を取り出して、ハイッと俺に差し出した。
「宍戸さん、お誕生日おめでとうございます!」
「……ありがとな。長太郎」
ううおおぉぉぉおお!!!
俺の天使がプレゼントくれたぞーーー!!!
死ぬほど嬉しい……!
ああ、俺の天使!俺の天使!!
「えへへ。よかったら開けてみて下さい」





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