10 俺は布団の上をゴロゴロすると、身体をくねらせ擦り付けた。 フフ、今の妄想に悶えたのもあるけど、どうせ一緒に寝られないからこうしてマーキングしておくんだよ。 って俺は猫か。 いやもういっそ長太郎の猫になりたいぜ〜。 おお、この設定萌えるかも。 「宍戸さん、お待たせしました」 濡れた髪をタオルで拭きながら、長太郎が戻ってきた。 さっきまでのニヤケ面を一瞬で引っ込めて、俺は待ちくたびれたかのように伸びをした。 「んぅ〜。おう、おかえり」 というか待ちくたびれてないしな。長太郎のベット満喫してたらあっという間だったからな! 風呂上がりの無防備な姿、いいなぁ。 もっとこっちに来ねーかな。 「……となり、失礼しますね」 「おう」 き、来た! タオルを肩にかけたハーフパンツ姿の長太郎は、トコトコと俺の脇へやってきて、ころんと寝転んだ。 ふわり、と鳳家のボディソープの香りが鼻をくすぐる。 うわあぁぁ……せっけんの匂いなのにくらくらしちまいそうだ〜〜! 「今日、俺、すっごく幸せでした」 「いや、誕生日なの俺の方じゃん」 「そうなんですけどね。なんだか俺の方がいっぱい幸せもらっちゃった気分なんです。宍戸さんがたくさん喋ってくれましたし」 「え?俺、今日そんな喋ったっけ」 「あ……えっと、そうですね、そんな気がしただけかもしれないですね、あはは。――ああ、そうだ!日付変わる前にプレゼント渡したいです!」 「お、おう」 なんか態度が不自然な気もしたけど、気のせいかな。 長太郎はクローゼットから紙袋を取り出して、ハイッと俺に差し出した。 「宍戸さん、お誕生日おめでとうございます!」 「……ありがとな。長太郎」 ううおおぉぉぉおお!!! 俺の天使がプレゼントくれたぞーーー!!! 死ぬほど嬉しい……! ああ、俺の天使!俺の天使!! 「えへへ。よかったら開けてみて下さい」 前 次 Text | Top |