07 褒めてというように顔を覗き込んでくる長太郎に、もう一度サンキューと言うので精いっぱいだった。 萌えすぎて息ができない。 「あ、あれ?お前の分は?」 「俺はさっき宍戸さんにもらったジュースがありますから」 そう言ってカバンから取り出したピンク色の液体は、さっき長太郎にあげたジュースだった。 そういえば、あれって忍足からもらったやつだって言っただろ? 朝いきなり誕生日祝いだって。なぜか2本。 それで放課後、長太郎を待つ間に俺も味違いらしいソーダ色のやつを一本飲んだが、激甘なうえに不思議な後味がしたんだよ。 いつかどこかで味わったような……うーん、思い出せない。 とにかく、どうせならもっとウマいやつくれってんだ。あの伊達眼鏡め。 しかももう温いよな。 長太郎、余計にのど渇いたりしねーかなぁ。 「はぁ、おいしくって、のども潤いますね!」 どこの清涼飲料水のCMかと思うような台詞と笑顔だ。 再び、ごきゅごきゅ、とうっすら張り出した咽喉仏が上下する。 芸術的ラインだぜ。 二次性徴をスルーしたキャンディボイスのため、あまり発達していないのだろう。 なだらかな首筋には真夏の結晶(汗)が光り輝いている。 爽やかかっこいい……それに超エロい……。 なんたってアッチの方は発達しまくりだもんな!はは! 「―――げほっ!!ぅげふ!!!」 「だ、大丈夫か長太郎ッ!?」 あんまり勢いよく流し込むから、むせってしまったようだ。 え?ああ、いやだってさ俺シャワー室で見たもん、長太郎のちんこ。 なんか大きさも形も俺のと全然ちげーのよ。 あれ勃起したら凶器じゃねーかなぁ。女はその方がイイのかよ? いやそんな女一生現れるな!堕天しちまう! 「げほっ、げほっ、ぐ、げほ…っ!」 「ほら、俺の飲んで落ちつけ」 いやそういう意味じゃねーぞ。 アイスコーヒーだぞ。 「っげほ、っげほ!」 あぁあぁ俺ってば下ネタ言ってないで長太郎の心配しなくちゃだろ! いやそんなことしたいなんて微塵も思ってないからな。 ただそんな汚らわしいことを悪い奴に言われて動揺する天使の表情がもし見られたら可愛いだろうなっていう、例えだぞ。 あーもう!ごめん!変態でごめん! 「だ、っけほ、このぐらい、大丈夫です……!」 「無理すんな」 「して、ない、す」 涙声の長太郎は、残りのジュースをグビグビ飲みほしてしまった。 なんか今日の長太郎かわいいな。 いや常に可愛いけどな、なんというか、隙があるかんじっての? ドジっ子ぶりがすごくてほっとけない。 兄貴心をくすぐられてヤバイ。 俺は長太郎が落ち着くように、その背中をゆっくり擦った。 さっきまで可愛いと思ってたのに、逞しいとこもかっこいいぜー。 この身体にぎゅーって羽交い締めされたら『痛気持ち良さそう』だ。 あ、息が乱れたせいかな。 耳まで真っ赤になってる。 「……すみません。本当にもう大丈夫です」 前 次 Text | Top |