04 「あの、まずは、クールダウン……いえ、CDショップに行きましょう」 なんで? 早く長太郎の部屋の匂いすんすんしたいんだけど。 「ふえぇっ――えええ、えっとですね!こ、この前、宍戸さんが気になるって言ってたバンドのCD見つけたんです。しかも、コーナーが作られててアルバム視聴できるんですよ!」 「うっわマジで!?やった!」 お前はなんてデキる後輩なんだー! これは長太郎んち行ったら頭わしゃわしゃ撫でくり回してやろう。 ってそれじゃ俺が嬉しいだけか。へへへ。 「へ、へへっ。あっ、そのあとはゲーセン行きません?」 ゲーセン? 長太郎、音うるさいから嫌だって言ってたのに。 なんでもあの騒音が全部ドレミで聞こえちまうらしい。絶対音感っていうやつだ。 「俺は平気です。だって、宍戸さんの好きって言ってたレーシングゲーム、内緒で練習したんです。今日一緒にするために」 「ぶっ」 バカヤローッ! 俺を萌え殺す気か――!! 「ぶぶぶか、部活さぼってんじゃねーぞコラぁッ!」 「ちちち違うッス!部活の後とか、休日に来てましたからっ」 「ならいいんだけどよ」 はぁはぁ……内緒で練習とか健気すぎんだろぉぉ。 それ以上従順になってどうするつもりだこの野郎! 犬耳付けちまうぞ!もふもふ! ふぅ……、ごめん、いきおいで喝入れちまったな長太郎。 でもよ、そうしないと心臓が爆発しそうだったんだ。 「……あの、ただし対戦は初めてなので、宍戸さんが楽しめるかどうか、微妙なんですけどね」 チッ、こんなイケメンが一人でゲーセンふらふらしてただと? ナンパされんだろうが。 危機感持てよな。ばかばか。 「なんだかご心配おかけしたみたいで、すみません」 「別に」 「ここに通っているあいだ、特に誰かに絡まれたりしてませんし、ナンパもお断りしました」 「へえ、って自慢かよ!激ダサだな!」 「えへへ」 良かったあぁ! 俺の天使は無傷で純白なままだぞ! ナンパ仕掛けたヤツ、破滅への輪舞曲決定な。 前 次 Text | Top |