03 ――と、ふいに脱ぎかけの白シャツを腕に絡ませたまま、長太郎がこちらを振り返る。 え、なに、え? その偶然に生まれたセクシーショットなんなの?? 芸術的に美しいじゃねーかバカ野郎。 Tシャツのまっさらな白と、珠肌の淡い白。 鎖骨に脇に腰のライン。チラリズム満載だなコノヤロー。 しっかしサイドから見た腹筋の凹凸最高だぜ〜〜。 指でなぞってみたい。 いや、シャワーを掛けるのはどうだろう。 うわ、うわ、水が腹筋の隆起に沿って流れ落ちていく様を鑑賞したい……っ。 だめだ!やっぱり頬ずりしかないッ!! すりすり!すりすり! ってオレごときが天使を汚してごめんなさい。 俺が数秒ほどそんな妄想をしてから「どうした?」と声を掛けると、長太郎は「あ、いや」と頬を赤らめて微笑んだ。 笑顔がなんだかぎこちない。 でもいつもスマイル全開って感じの長太郎があんなふうに控えめな笑い方をするなんて知らなかった。 あっ! もしかして。 俺の誕生日にウキウキしてるの我慢してるつもりなのかぁ〜?? いやいや、長太郎LOVEな俺の目は誤魔化せねーぞ。 白いほっぺがピンクになってて隠せてねーから。 くりくりおめめも泳いでて隠せてねーからなっ、長太郎。 クソぅ、可愛いすぎるぜぇ……可愛過ぎてその半笑いの唇にチューしてやりたいぜ!! やっぱり腹筋舐めさせろ! 天使の汗って甘いのかしょっぱいのか気になって気になって仕方ねーんだよなぁ! 「……」 ぎぎぎ、と音がしそうな目の逸らし方をした長太郎が、ゆらりと前傾姿勢になり、背中を向けた。 しかし着替えの手は止まったままだ。 「おい、腹出してっと風邪引くぞ」 「はわっ。ふぁはは、はぃい!」 なんてーのは建前で、そろそろ隠してくれないと俺の鉄仮面が崩壊してキモチワルイにやけ面になっちまいそうなだけだけど。 それから引き続き着替え始めた長太郎だったが、よほど焦っているのか、ネクタイをうまく結べなかったり、シャツのボタンに手間取ったりしていた。 珍しく慌てふためく可愛い天使。 心の中のレコーダーが録画の赤いライトを点灯させた。 前 次 Text | Top |