微笑みにまぎれてキス たまに、あべくんが、別人みたいになるときがある。 いつも優しいけど、そのときのあべくんは、もっと優しくて、もっとカッコイイ。 見つめられると、心臓がうるさく鳴る。ふわふわであまずっぱい、イチゴムース食べたときみたいな気持ちになるんだ。 「三橋」 なまえ呼ばれたら、もうダメだ、オレ。 キスして欲しくなる。 抱きしめて欲しくなる。 でも、恥ずかしいし、今あべくんは…したくないかもしれないし。 考えて、なんにもできないでいたら、頭くしゃってされて、ほっぺたなでられた。 「…おまえ、ほんと可愛い」 「う、えっ?」 「キスしていい?」 びっくりしてるうちに、むにって口がくっついた。 気持ちいい、な。 「もっかい?」 「う…うん」 やさしい笑顔だ。 オレの大好きな顔。 おねがいします。 オレだけの、あべくんでいて。ずっと、ずーっと。 目をとじて、そう、心のなかで言ってみた。 End. 前 次 Text | Top |