◇あべみは短編 | ナノ

微笑みにまぎれてキス

たまに、あべくんが、別人みたいになるときがある。

いつも優しいけど、そのときのあべくんは、もっと優しくて、もっとカッコイイ。
見つめられると、心臓がうるさく鳴る。ふわふわであまずっぱい、イチゴムース食べたときみたいな気持ちになるんだ。

「三橋」

なまえ呼ばれたら、もうダメだ、オレ。
キスして欲しくなる。
抱きしめて欲しくなる。
でも、恥ずかしいし、今あべくんは…したくないかもしれないし。
考えて、なんにもできないでいたら、頭くしゃってされて、ほっぺたなでられた。

「…おまえ、ほんと可愛い」
「う、えっ?」
「キスしていい?」

びっくりしてるうちに、むにって口がくっついた。
気持ちいい、な。

「もっかい?」
「う…うん」

やさしい笑顔だ。
オレの大好きな顔。

おねがいします。
オレだけの、あべくんでいて。ずっと、ずーっと。

目をとじて、そう、心のなかで言ってみた。




End.





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