◇あべみは短編 | ナノ

溢れる愛でコーティング

「三橋、三橋…」
「う、わっ…なぁ、に?」

あ、あべくんが、発情 してる。

犬とおんなじ言い方は失礼、かな。
でも、ほかになんて言えばいいのか、オレ知らないし。それに…は、恥ずかしくて、今は頭まわんないっ。
あべくんのはぁはぁ言う声、身体のいろんなトコが、くすぐったくなっちゃうんだ。

「なぁ…してもいい?」
「あ、う」

えっちなこと、してもいいって思ってるのに、やっぱり恥ずかしくて頷けない。
けど、あべくんは、オレの心の中を見たように、オレの手を引いてベットに座った。

「三橋来ると思って、ベットきれいにしといたんだ。…他も用意してる」

引き出しから、つけるやつと、ぬるぬるするやつがでてきた。
あべくんはずっとまっすぐオレを見てる。
……か、顔が 熱い。

「三橋、無理させねぇから…」

あべくんはオレごとシーツに倒れ込んで、ちゅ、ちゅ、ってキスを始めた。
優しくて、愛情たっぷりで、うれしいのに……緊張しすぎて、動けない。オレも、男なのに、情けない。

「…あとさ、その…やってみたいことあるんだけど…」
「えっ、あ…、な、にっ?」

尋ねると、あべくんの顔がくもった。

――いつもいつも、あべくんにさせてばっかりで、オレは情けない。

胸に、ボッ と火がつく感覚がした。


「あっ、あべくんの好きにして、いいよ!!オレにできることなら、なんでもする!」


あべくんはその日、いつもよりえっちだった。
なのに「三橋ってエロい」って言われた。
どうしてなんだろう?




End.





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