◇あべみは短編 | ナノ

時々やさしく撫でてね

あべくんのおかげで、今日もオレは寒さ対策、万全。
耳あて。コート。マフラー。手袋。あと、ホッカイロ。

ほかほか、だ。
押し付けるように貸してくれたマフラーから、あべくんの匂い。
胸のとこ、キュンキュンする。
でも、寒くないし、手袋しちゃったし、あべくんに触ったり 触られたりは、ナシんなっちゃった。

とぼとぼ、うつむいて歩く帰り道。
今、誰もいないのに。

ゼイタクなのは、わかってるんだよ。
オレは、欲張り だし。


「三橋」
「…なあ、に?」
「俺の部屋さ、多分すげえ寒い。あったまるまでくっついて我慢、な?」


うわわ。
あべくん、オレの心の中見えてるのか?

わああ。
あ、暑くなってきた…!




End.





Text | Top