02/26:先輩。 朝起きると、シーツの隣側が冷たくなっていた。 慌てて飛び起きて狭い部屋に向かって名前を呼んだけれど返事はない。 代わりに携帯にメールが一通届いていた。 やっぱり、怒らせたんだ。 当り前だ。嫌だというのに不満をぶつけるように抱いてしまったのだから。 静まり返った部屋にようやく罪悪感が押し寄せる。 どうしてあのとき冷静になれなかったんだろう。 夕食の時間に食堂に行っても宍戸さんに会えなくて、でも呼び出すこともできない。 「鳳」 振り向くと向日先輩がいた。 「あのさ。宍戸のこと、もう許してやれば?」 「……え?」 どういうことだろう。 やっぱり向日先輩達の部屋にいたんだと安心しながらも、なぜ俺が宍戸さんを許す許さないの問題になっているのか、状況が飲み込めない。 「映画で号泣してる侑士よりもうっとおしくて困ってんだよ。すっげー暗いし落ち込んでるし、部屋にカビ生えるっつの」 「落ち込んでる?…どういうことですか」 「こっちが聞きてえよ」 「………俺が怒られる側なんです…。宍戸さんは、何も悪くないです…」 「は?じゃあなんであいつ…いや、事情は知らないけどよ。最後なんだから仲良く終われって。捨てられた猫みたいな顔してるぜ」 「……」 「…まぁおまえもそんな顔だな。ったく、悪いところまでシンクロしてるんじゃねぇよアホ。飯食ってとっとと寝て、明日んなったら迎えに来い」 そうして「いいな?」と訊かれて「はい」と言ったのに、向日先輩は俺の背中を何度もバシバシ叩いた。 前日 翌日 ちょ誕企画 | Text | Top |