02/19:普及。 角部屋の我が家を出るにもこうして帰って来るのにも、テニス部メンバーの部屋の前を必ず通るのだけど。 目の前でそのドアの一つが開いた。 「あ。ちょたろ、おかえりなさい」 「ただいま帰りました……って、滝先輩までそれ浸透してたんですか?」 「可愛いじゃない」 「…ペットの名前みたいで、ですか?」 これはジロー先輩に言われたこと。 「そっちよりも、宍戸」 「………どこまで聞いてるんです?」 『百聞は一見に如かず』そう言って見せられた携帯画面には、あの写真が(俺が眠っている宍戸さんを抱っこしている写真だ) 昨日、滝先輩が忍足先輩にすごい写メを送ったところ、お返しにこれとその経緯を託されたらしい。 「…すごい写メって…もしかしてUFOの…」 「あれ、知ってるの?なぁんだ。反応楽しみにしてたのに」 「もう、滝先輩…っ」 「ふふ。けどまぁ、部屋に帰ったら約一名、未確認飛行物体に興奮してる奴が待ってるよ。相手してやってね」 するりと俺の横を抜け、滝先輩は階段を下りて行ってしまった。 屈託のない笑顔ではしゃぐ宍戸さんが目に浮かぶ。 …なんて言えばいいのかな…。 前日 翌日 ちょ誕企画 | Text | Top |