◆中学生日記 | ナノ

02/19:普及。


角部屋の我が家を出るにもこうして帰って来るのにも、テニス部メンバーの部屋の前を必ず通るのだけど。
目の前でそのドアの一つが開いた。

「あ。ちょたろ、おかえりなさい」
「ただいま帰りました……って、滝先輩までそれ浸透してたんですか?」
「可愛いじゃない」
「…ペットの名前みたいで、ですか?」

これはジロー先輩に言われたこと。

「そっちよりも、宍戸」
「………どこまで聞いてるんです?」

『百聞は一見に如かず』そう言って見せられた携帯画面には、あの写真が(俺が眠っている宍戸さんを抱っこしている写真だ)
昨日、滝先輩が忍足先輩にすごい写メを送ったところ、お返しにこれとその経緯を託されたらしい。

「…すごい写メって…もしかしてUFOの…」
「あれ、知ってるの?なぁんだ。反応楽しみにしてたのに」
「もう、滝先輩…っ」
「ふふ。けどまぁ、部屋に帰ったら約一名、未確認飛行物体に興奮してる奴が待ってるよ。相手してやってね」

するりと俺の横を抜け、滝先輩は階段を下りて行ってしまった。

屈託のない笑顔ではしゃぐ宍戸さんが目に浮かぶ。
…なんて言えばいいのかな…。


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