◇sumata | ナノ

しんぱいしないで。 4


「し、宍戸さん!」
「まだ三十分以上は誰も来ないと思う…」
「そうじゃなくてっ!…したい…けど!ゴムないです!」
「ゴム?」
「コンドーム!覚えてないかもしれないけど、俺、初めての時もちゃんとしてましたよ。まずいじゃないですか」
「じゃあ、中に出せば?」
「………は……?」
「そのうち…で、出てくると思う。せーえき…長太郎、の…」
「…………」

俺はなんて純粋な人を襲ってしまったんだろう。
後悔に頭を抱えていると、宍戸さんが焦ったように「あ、そっか、部活で動いたら…」なんてズレたことを閃いていた。

「そうじゃなくて…お腹壊しちゃうんですよ」
「えっ」
「精液を宍戸さんの中に出したまんまにしておくと、宍戸さんのお腹が痛くなるんですよ」
「そ、そうなんだ…。ごめんな。俺、なんも知らないのにヤろうとか…」
「い、いえ!そういうのも、今度から教えたり相談したり、しましょ?」
「おう…。じゃあ、教室戻るか」

宍戸さんはしょぼんとしたようにそう呟くと、寛げられた俺のズボンを直し始めた。

「え!?ま、待って下さい!」
「ん?」
「あの、ゴムないけど…宍戸さんのも、勃ってるし」
「あっ、そっか。トイレでも寄ってくか」
「ええっ!?」

何が悲しくてトイレで別々の個室に別れてオナニーしなくちゃいけないのか。
俺は慌てて宍戸さんを抱き上げると、態勢を逆転させた。

「ちょ、長太郎!俺の腹壊す気かよ!?」
「大丈夫です!あ、その、お腹とか、汚れるかもしれないけど…」
「え?…あっ!ちょ…長太郎…そこ、やめ…っ」

両手は宍戸さんを拘束するので埋まってる。それでも反応を確かめたくて、宍戸さんの両脚の付け根で膨らむ中心を、膝でぐりぐりと刺激した。

「あ、あっ、ちょうた、ダメ、て」
「宍戸さん、俺、オナニーするくらいだったら、素股したいです」
「え?…っ…な、に…?」
「エッチに似てる、よ」
「や、ひざ、やっ!」

説明しようかなと思ったけれど、宍戸さんは快感でそれどころじゃないみたいだ。
頬を赤くして喘ぐ宍戸さんが可愛くて、膝を擦りつけたままめちゃくちゃに口の中をかき回す。
すると宍戸さんは身体の力が抜けて、くたりとのびてしまった。ちらりと下を見てみると、ズボンの上からでもはっきり分かるくらい、宍戸さんの中心は盛り上がっている。
俺は一度身体を離すと、着ていたセーターを脱いだ。

「宍戸さん。これ、背中に敷いて下さい」
「…長太郎…俺、一人でやれっから…」

ふらふらしながらそう言う宍戸さんの肩を押して、セーターを敷いた床にまた寝かせる。開かせた脚の間に座ると、ズボンのチャックに手をかけた。

「ダメです。お尻に挿れないから、二人でしましょう」
「え…お、なにー?」
「…いろいろ」

宍戸さんはまだ少し不安そうだったけれど、ズボンを下げようとすると、チラリと俺を見つめて、控えめに腰を上げてくれた。
この前は俺が強引にしてしまったから、たったそれだけのことでムラムラときてしまう。
それに、今日は気持ちの余裕も多少あるし、こんな明るいところだから…宍戸さんのカラダがはっきり見える。

「ちょ、長太郎…あんま見んなよ…っ」

制止の声を無視して、膝裏を掴んだ自分の手を、ぐっと広げる。
宍戸さんは顔を真っ赤にして、すぐに両腕で顔を隠してしまった。そんな仕草をされたら、余計煽るって、この人は知らないんだろうか。

「宍戸さんの…濡れてるね」
「!…し、仕方ねぇだろ…あんなことされたら…っ」
「あんなこと?キスしたこと?膝で擦ったこと?」
「……お、っまえ!」

宍戸さんは怒って「バカ!」と言い返してくる。
いつもの宍戸さんが戻ってきたような気がしてうれしくなる。喜びのままにキスをすると、胸が熱くなった。性欲だけじゃない、愛しさを感じた。

「ん、ふっ、…長太郎…」
「気持ちいい、宍戸さん?俺は気持ちいいよ…」

また舌を絡めてしまったので、宍戸さんからの返事はなかった。
けれど“同じ気持ちだ”と言ってくれるように首に腕が回る。開かせたままの脚が時折震えて、確信する。
たくさん、たくさんキスをしながら、片手をシャツの中に忍び込ませる。
この熱くてしっとりした肌がたまらない。擦ったら乳首がどうなっていくか、思い出すだけで興奮する。
本当は全部脱がせたかったけど、そんなことして宍戸さんが風邪をひいてしまったら大変だ。

「ちょ、うたろう…っ」
「ん?」

唇から首筋へ移動していた顔を上げると、宍戸さんはもどかしそうに身をよじる。
脇腹はくすぐったがるし、乳首も触ってみたけど、まだそんなに快感はないらしい。

「そ、そろそろ、した…触んないと、チャイム…」
「ふふ。そうですね」

照れ隠しにそんなことを言う宍戸さんにもう一度キスをして、下半身の方に移動する。
さっきのキスでまた感じてしまったのか、宍戸さんのものは先走りが溢れていた。
右手を宍戸さんの膝裏から離すと、まずはそっと裏筋をなぞってみた。
まずは人差し指だけで。
根元から先端へ行きつくと、くるくると指の腹で摩擦した。

「あ…っく、うぅ…」
「気持ちいい、ですか?」
「な、んでそんなことばっか、訊くんだよっ…」
「どこが気持ちいいか分かったら、早く終わるでしょ?チャイム鳴ったら誰か来ちゃうかもしれないですし」
「…うう…。あっ、はっ」
「そういう声も可愛いですけど」
「くっそ、…ぁっ」

なんて、本当は宍戸さんの恥ずかしがる顔が見たいだけだけど。
ピンと立ち上がっているのに、弱い刺激ばかりで辛いのか。まだ持ち上げたままの右足のつま先が、ぎゅうと縮こまっている。
同様にぎゅっと弾き結ばれた唇が開くのを期待して、俺は宍戸さんのものを手のひら全体で包みこむと、先走りを塗りつけるように擦り始めた。

「ひっ、あ!」
「すご…硬くなってるし、ぬるぬるだね」
「うっ、うぁっ、長太郎っ…も、いや…」

そんなに艶めいた声でイヤと言われて、俺の中では征服欲みたいなものがますます大きくなっていく。
勃起した宍戸さんの中心は、ぐちゅぐちゅと音を立てるくらいになっていた。
上へ目を向けると、宍戸さんの赤い顔。耳にはその水音が届いているようで、俯くように顔を背けている。ふたたび下半身に目を向けると、ぐちゃぐちゃに濡れていて。
二つのギャップにぞくぞくした。



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