◇sumata | ナノ
しんぱいしないで。 1
※ご注意!
・直接的な言葉があります
・鳳が生意気
・宍戸がツンデレデレ
玉砕覚悟で告白して、晴れて両想いになった宍戸さんと俺。
苦悩の日々も、切ない涙も、すべて報われたと思いきや。
すべてを巻き込んだまま愛情は膨れ上がり、俺は日増しに宍戸さんを大好きな気持ちを爆発させそうになっていった。
そして…つい。
キスもまだ照れくさそうにする宍戸さんを、なかば襲うようにして抱いてしまった。
襲うようにといっても宍戸さんは男だし、本気で抵抗されれば抱けるわけない。
それなのに、あまり強い抵抗がなかった。だからやってもいいということにはならないけれど。
それで…とうとう、最後まで。
やっぱり痛がったけど、本気で抵抗されず。だ、だからやってもいいということにはならないけれど!
理性をなくした俺は止まれなかった。
頭の中はやらしいことでいっぱいでも、宍戸さんを好きなのは、ほんとのほんと。
宍戸さんも気持ち良くなってもらえるように、前立腺という気持ち良くなるとこをちゃんと見つけて、それから最後に前も触ってイかせてあげようって。
そして、前に触れようとしたその時だった。
宍戸さんのお腹に、白いものが飛び散ったのは。
宍戸さんが気持ち良くなるには時間が必要だと覚悟していただけに、俺はその時、ものすごくうれしかった。
「っは…、ししどさ…、出た、ね」
「……!」
宍戸さんが涙目で恥ずかしがるのも構わず喜んだ。
だってそうでしょう。強気で照れ屋な性格のこの人が、素直だったことなんて滅多にないんだ。
じゃあ、この白いどろどろは。
宍戸さんが言葉にしてくれない、愛の証明そのものだ。
*
「…あー、わ、悪ぃ…今日はジローとゲームする約束してんだ…」
土曜日の朝練習が終わって、一緒に帰ろうと宍戸さんを誘うとそんな返事が返ってきた。
(あ、あれ?)
そうだったんすか、と平静を装ってみたけれど、俺は目を泳がせる宍戸さんに気付いて不安に駆られた。
付き合いだしてからは、毎週末一緒に過ごすのがあたりまえになっていたのに。予定があったら、前日までには連絡しあっていたのに。
「約束したっけ?」
部室のソファでうとうとしていたジロー先輩が、小首をかしげる。
「あ…ああ!おまえあん時寝ぼけてたからな!ゆ、夢だと思っちまったんだろ!」
「そうだっけ……ってかオレ、久しぶりに宍戸んち行きてぇや!!」
「よし、じゃあ行くぞ!」
「うんっ。ポッキー買っていこ!」
そうやって二人は慌ただしく部室を去って行った。
…なんだかぎくしゃくしていたように感じたけど、気のせいかな。宍戸さん、俺の方全然見なかった。
「宍戸さん…」
切なくなって一人呟いていると、隣で着替えていた日吉に溜め息を吐かれた。
「うぜーな。毎日独占してんだから一日くらいいいだろうが」
「でも宍戸さんが家泊まったの、先々週で最後なんだ…」
「へえ。避けられてるってことか?」
「やっぱりそうなのかな」
日吉は無表情なまま、ネクタイを結び始める。
「今も嘘吐いて逃げてたからな」
「…日吉にも、嘘に聞こえた?」
「動きも声もしどろもどろになってただろ。おまえ、その泊まった日に何かしでかしたんじゃないのか?」
「そ、そんなことないよ!あの夜はすごく…」
そこまで言いかけると、初めて日吉の目の色が変化した。
「言わなくていいバカ!!」
「あ、ごめん。つい…昔から恋愛相談きいてくれてたから、そのノリで」
「そこまで面倒見きれっかよ!…とにかく、なにも問題ないんであれば宍戸先輩に直接尋ねてみるしかないぞ。別のことで原因があるのかもしれねーし」
「うう…そう、だね…」
俺、宍戸さんに何かしちゃったのかな。
ちょっと強引だったからかな…、でもお互い気持ち良くなれたし、宍戸さん怒ってなかったし。
…でも、明らかに避けられてる、よな…。
がっくりと落ち込みながらも着替えを再開する。
すると、背後のソファからどしっと人の座る音がした。
「早くしろ。…仕方ねーから、一緒に帰ってやるよ」
「日吉んち、遊びに行っていい?」
「断る」
相変わらずな言い方だったけど、今日ばかりは優しく聞こえた、日吉の声。
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