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P O O L S I D E 18


「う…まぁ…大会でトロフィーもらったりとかは…」
「すげぇ!鳳すげえよ!こんなひょろっこいのに、やるなぁ!」
「なっ!それは僕の肌が日焼けしてないから、印象です!実際、宍戸さんの方が背は小さいじゃないですか!」
「はぁ?若干俺のが目線高ぇよアホ!」
「気のせいじゃないですか?」
「なんだと」
「じゃあ立って下さい」

二人いきり立ってプールの縁に立ち上がる。
宍戸が睨みを利かせていると、鳳がぐっと近づいてきた。

「え」

思わず一歩下がりそうになった。
しかし鳳の右手が宍戸の頭頂部に乗せられてしまう。
そうか。身長を測るんだから、近づくなんて当たり前か。

「まっすぐ立って下さい」

驚いているうちに左手が二の腕を引きよせてくる。
それにまた焦りを感じて、宍戸は無意識に離れようとした。
けれど鳳は思ったより力が強く、宍戸の動揺にも気付いていないようだった。
頭に乗せられた右手は、静かに鳳の額方向へ水平に移動して、そして止まった。
なぜか、宍戸の息まで止まっている。

「ほら」

我に返れば鳳がうれしそうに笑っている。そしてその手は彼の前髪の生え際に当てられていた。
呼吸を思い出す。

「宍戸さん、何センチですか?」
「…172…」
「なら、僕の方が2、3センチ高そうです。…あっ。そういえば僕、成長期みたいで関節が痛くて悩んでたんでした!」
「…クソッ!何思い出したように言ってんだ!嫌味か!?」

頭頂部に思いっきりチョップをかますと「あいたっ」と叫んで鳳が涙目になる。
宍戸は少しスッキリした気分になって、踵を返した。

「たかが1センチや2センチで調子こいてんじゃねぇ。激ダサだな!」

「2センチか、3センチです…」としつこく呻く鳳を無視して、宍戸は脱いでいた衣服を着始める。

「そろそろ自主練戻るわ。ゴミ捨てとけな」





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