◆P O O L S I D E | ナノ


P O O L S I D E 12


戦いの中で跡部に負傷を見抜かれていた。
宍戸は何も言い返すことができなかった。

「そんなことをして、何を得た?練習量を増やしたって何も変わらねぇんだ。おまえは根本から間違っている。だから無名校の野郎なんかに負けたんだ」
「…もう、負けねぇ」
「おまえは何も見えていない」
「………何がだ……」
「弱さだ。強さばかり磨き上げて、弱さを認めようとしない。弱さを知ろうとしない。逃げているから不安ばかり募って、自分のテニスも見失っている。だから、刃を剥き出しに挑んできたところで、こんな底の浅いテニスしかできないんだ」
「………」

自分の弱さ。
宍戸は先日の敗北でそれを見てしまった。
そして向き合うのを恐れた。
認めずに、逃げたのだ。

「氷帝学園はコンソレーションに勝ち、必ず関東大会に出場する。それまでまだ時間はあるが……退部届を出すなら明日出せ。俺も忙しい」
「………」
「……いいな」

跡部はそれだけ言うと今度こそコートを出て行った。
宍戸は何も言い返すことができなかった。

その場にうずくまると、自分の鼓動の音だけがやけに大きく聴こえてきた。





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