◆P O O L S I D E | ナノ


P O O L S I D E 11


跡部の放った球が顔面すれすれを突き抜け、宍戸はテニスコートに倒れこんだ。

「俺の勝ちだ」

誰もいないコートに跡部の声が静かに響く。
宍戸は倒れたまま、荒い呼吸を繰り返す。

「まだだ…!」
「もう終わりだ」
「は……まだ、やれる…っ」
「同じ結果になるだけだ」
「……」

宍戸はコートに跪いたまま動かなかった。
跡部はずっとそれを眺めてみたが、宍戸は微動だにしない。
全力で叩きのめしてやったからもう体力も底をついているはず。
いくら宍戸でもそれ以上戦おうとは思わないだろう。
諦めたようだと確認すると、しばらくして跡部は宍戸に背を向け歩き出した。
しかしコートのラインを踏み越えようとした瞬間、背後から「待て」という声がした。

「待て、跡部。くっ…もう一度…まだ、だ……」

宍戸は立ち上がっていた。
跡部は驚き、足を止めたが、眉間にしわを寄せると宍戸の目前までやってきてラケットを突きつけた。

「その様で俺に勝てるわけがねーんだよ!分かんねえのか!?」
「分かってたまるかよっ。俺はまだ戦える!俺はまだ、正レギュラーとして戦える!」
「……おまえは何も分かってねえ。おまえは何も見えていない」
「あ…?」
「この数日間、部活も出ないで何をしていたか当ててやろうか?ただがむしゃらに練習しただけだろう。だから肘も足首も使い物にならないんだ」





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