ミ★1st Anniversary! | ナノ
初恋リプレイ 7


でも、そんな長太郎を見て「かわいいな」と思った。
さっき助けてくれた時も、ちょっと…格好良かった。

そもそも性別や年齢も関係なしに長太郎を好きになったんだ。
背が大きいとか小さいとか、俺は何をこだわっていたんだろう。

あれ…?
そういえば、さっきから長太郎を前にして緊張していない。

「とにかく、宍戸さん?変な奴が近付いてきたら、俺に報告くださいね」
「なんだよそれ。つーか、長太郎こそデカくなってからモテモテみたいじゃねぇか。こっちにも噂流れてんぞ」
「別にモテてないです。テニス部のレギュラーで女っ気ないの俺だけなんで、みんな気になるだけですよ、きっと。……でも、俺には宍戸さんがいるもんね!」
「……俺はおまえが眩しいよ……」
「そんなことより、あの教師には十分気を付けて下さいよね!ああ、卒業まであと5ヶ月もあんな教師と宍戸さんが同じ校舎にいなくちゃいけないのかぁ…。心配だな〜!」
「んぐっ。ち、長太郎…、苦しいって」
「今は梃子でも動きませんっ」

長太郎は力いっぱい俺を抱きしめる。身じろぎもできない。
急に身体が大きくなって、分かってねぇんだよな。
「力加減をしろ」って注意してやろう。

でも、それは今度。
今はこの苦しいのが欲しい。
でかい長太郎の力任せの愛情は心地良くて、安心感があるみたいだ。
たぶん、これがネオ長太郎の魅力なんだな。
それに、根本は変わっていない。長太郎はいつだって素直に気持ちを示してくれる。

「宍戸さん、変な顔」
「あんだとー?」
「眉間にしわ寄せて、笑ってる」

そりゃ、苦しいからだよ。
苦しくて、でもうれしいから。

「おまえも変だぞ」
「えっ。どこがですか!?」

パッと髪を直しはじめ、顔をペタペタ触って確かめる長太郎。

「ちーがーうっての」
「え」

俺はせわしなく動く両手を掴んで長太郎を見上げた。

「長太郎は、かわいいのにカッコよくて、変だぜ?」
「…し、宍戸さん…」

みるみる赤くなっていく頬。しかし「かわいい」には不服なのか、すぐにムッとした。
俺には言うくせに勝手な奴だ。でもまぁ、俺の方が年上だから許してやる。

変わらないヤツなんていない。
誰だって、なにかを失いながら、なにかを得て成長していくもんなんだよな。
当り前のこと、だ。

初恋の小さな長太郎はもういない。
でも覚えてるから。たくさん思い出があるから、もう十分なんだ。
それに。

「けど、宍戸さんにカッコいいって言ってもらったの、初めてです」
「そうだっけ?」
「うん。俺、もっと頑張ります。宍戸さんが大好きだから。もっと好きになってほしいから」


俺を見下ろす優しい目。
アッシュグレーのふわふわなくせっ毛と白い肌。
いつだって、好きだと微笑んでくれるその唇。


俺はもう一度、同じ愛をくれる長太郎に恋をしたから。




End.


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