ミ★1st Anniversary! | ナノ
初恋リプレイ 4


朝から何度も欠伸をこぼして、それは午後になっても止まらなかった。
あきらめて昼寝でもしようかと、俺はとうとう保健室へサボりに来た。どうせ次は6限目だし、小林の授業だからな。

なんでだるそうなのかって、それは長太郎のせいだ。
昨日…1回だけだと言ったのに、結局2時間きっかり離してもらえなかった。
怒ると反省はしたけど、「今後気を付けます」という言葉はあまり信用できない。俺が受験生ということもあって会う機会が減ってから、こういうことは多々起きているのだ。
……でも…あんな強引なのは、初めてだったけど……。
ふと昨夕の情景がよみがえってきて、カッと頬が熱くなる。
俺は慌てて頭を振った。
この頃、長太郎のことを考えてばかりだ。性行為の問題が俺の中で解消されたばかりだってのに、長太郎がいきなり別人みたいになるから。

ガキの頃おねしょした長太郎だって、毛虫が怖くて泣いた長太郎だって知ってるのに、あんなふうに俺に触れて、煽ったりする長太郎も同一人物だなんて。はいそうですねって頷けるか?
もう容量オーバーだ、俺の脳ミソ。
いままでどおりにしたくても、うまくできない。
そして、こんなふうに悩むのは性に合わない。

「考えてもムダだよな、こんなの…」

ハァと溜息を吐くと薬品臭い布団を頭からかぶり、ベットに突っ伏した。







授業終了のチャイムが鳴って目が覚める。
教室へ向かって歩きながらぼんやり携帯を開くと、長太郎からメールがきていた。


『これから部活へ行きます。宍戸さんは学校で勉強するんですか?一緒に帰りたいです』


そういえば、修学旅行の振り替え休日で授業はないらしいけど、部活には顔を出すとか言ってたな。
部活…6時くらいに終わるかな。
そうだ。あいつのせいで昨日やらずじまいになった勉強、図書室でしよう。
そう思い立った時だった。

「宍戸亮」

不意に呼びかけられて顔を上げると、正面からスーツ姿の男がにこやかにこちらへやってくるところだった。
思わず「げっ!」と嫌な声が出そうになる。

「…こ、小林先生…」
「また俺の授業サボったのかと思ったよ」

最悪だ。すっぽかしたばかりの授業の教師とはち合わせるなんて。
なにを聞かれるだろうとドキドキしながら携帯をポケットにしまうと、目を逸らして「まさか…」とだけ返すのがやっとだった。

「体調悪くて保健室へ行ってたんだって?心配したぞ」

一見優しく笑っているようだが、よく見ると目だけ笑っていない。
首筋や背中に冷や汗を感じた。それを拭うように、首の後ろへ手をやる。
嘘をついてる緊張感。
そして俺はこの教師があまり好きじゃなかった。気のせいかもしれないけど、なんだかやけに馴れ馴れしい気がして。

「はぁ…。けど、もう治りましたんで、大丈夫…です…」
「そう。どこが悪かった?」
「え?」

小林は相変わらず笑顔だ。
どこが悪かった、って……。
あ!こいつジローに聞いて知ってるくせに、試してるのか!?嫌なヤツ!

「頭痛がひどくて」

芥川君に伝言頼んでおいたんですけど。と言っても良かったが、バカらしくてやめた。
これ以上コイツと話をしたくないし。

「ふうん」

何がおかしいのか、小林が笑う。
…なんか、腹立つ…。

「すみませんでした。それじゃ俺、失礼します」

勝手に話を終わらせて、小林の横を通り過ぎることにする。しかしいきなり肩を掴まれて、俺は次の一歩を踏み出すことができなくなった。


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