ミ★1st Anniversary! | ナノ
初恋リプレイ 3
つい目を閉じて感じ入っていた俺の首筋に、突如ぺろりと熱い感触が走った。
「わっ!ちょっ、どこ舐め…」
「ずっと会いたくてしかたなかった。寂しかったよ…」
耳元に囁きながらも、頬や唇にちゅっちゅとキスが降ってくる。
前のめりになってくる身体を離そうとしたが、抱かれているせいで腕がうまく動かせない。
底なし沼に半身浸かってしまった気分だ。
「分かった!いったん離れろっ」
「ダメ。宍戸さん、離したら逃げるでしょ?…お母さんはいつ頃ご帰宅ですか?」
言葉の真意を伝えようとするように、シャツの奥へ忍び込む手。俺の身体はいつしかそれに反応するようにできていた。
「…っ、だめだって…」
言葉ではそう言いつつも、久しぶりに触れる長太郎に身体が勝手に熱を持つ。
俺だってずっと長太郎に会えないで、ほんのちょっと寂しい気持ちでいたのは同じだ。
しかし、帰っていきなりこんな……ど、動物的じゃないか!?
「まだお母さんお仕事中ですよね?…あと2時間は大丈夫かな」
「まっ…待てって!バカ!」
抵抗空しく床へ身体を押し倒される。慌てて起きようとしたけれど、すぐに長太郎が圧し掛かってきた。少し前までは突き飛ばすこともできたが、この頃はもう無理だ。長太郎の方が強い。
俺はますますパニックに陥った。
「待てバカ!バカバカバ……んっ…!?」
キスで口を封じられた。ついでに身体に跨られて、両手を押さえつけられる。
だんだん酸素不足になって、息も苦しくなって。
抵抗をやめて足をじたばたさせると、ようやく長太郎は唇を放した。
「引退してから体力落ちましたね」
「るっせ……はぁ、はぁ……か、加減を、考えろよ!」
こっちは本気で抵抗してるっていうのに、長太郎はまるで俺をどうしようもないわがままを言う子供でも見るように優しく微笑んでいた。
「……宍戸さん、昔に戻ったみたい」
「は…?」
昔?
どういう意味だと見上げ時には、長太郎はすっかり欲情したようなまなざしに切り替わっていた。
「1回だけダメですか。ゴムも持ってきましたから」
なっ、確信犯かよ…!
そう思うも声にできない。近寄られるだけでぞわぞわする長太郎の指先がじかに胸元を擦って、思わず歯を食いしばっていた。
「かわい…」
長太郎は熱い溜息を吐くと俺のズボンを引きずり下げて、勝手に続きをし始めた。
「勉強はあとにしてくださいね」
普段はもう少し俺の都合も聞くのに、今日は強引だ。
不満と快感がのどの奥でせめぎ合って、すぐに不満の方が引っ込んでいった。
下半身が疼くのを堪えて、俺は「ずるい、おまえ」とだけ文句をこぼした。
長太郎はやっぱり駄々っ子に困る親のような顔をしていた。
俺はこんな未来、想像すらしていなかった。
付き合い始めの頃なんて、どちらがタチかウケかすら手探り状態だったのに。
今はその単語すら話題に出ない。
俺が後者で、長太郎が前者ときっちり分けられているからだ。
俺だって、最初からそんな面倒な役割を素直に受け入れたわけじゃない。
それに、その頃の長太郎は小さくてかわいかった。そして俺は長太郎より背がでかくて4つも年上。なぜ突っ込まれなくてはならないのか、男として許し難い状況だったのだ。
しかし「入れるのは順番で」という平等ととれる長太郎の提案をうっかり承諾して、そうするはめになってしまった。
初めては、死ぬほど痛くて、恥ずかしくて、泣いた。
笑うならテメェもやってみろ!と言うつもりが、長太郎は笑わなかった。
次の失敗は、長太郎の「慣れるまでは交替しないで頑張ってみましょう?」という言葉に頷いてしまったことだ。
たしかに毎回交替してたんじゃいつまでたっても辛い気がしたし、もう少し我慢すれば次は俺だ…と思って、涙をにじませながらも数回ヤった。
逆に言えば、俺は数回後ろに突っ込まれただけで気持ち良くて射精した。
……あり得ない……。
そんなつもりはなかっただけに、かなり落ち込んだ。
長太郎も表情には出さなかったけど、絶対しめたと思ったに違いない。
だから続いて「宍戸さんが痛く感じなくなるまでこのまま続けたいです」っつーイカレてるとしか思えないことを言いだしたんだろ。
「宍戸さんがちゃんと気持ちよくなってくれるように、努力しますから」
長太郎の真剣な瞳に、なんだかこの性行為の趣旨がずれていってる気がしたが、もう反抗心は湧かなかった。仕方ないだろ、ヤったばかりで頭がぼうっとしてる時に言われたんだよ。
足を開く恥ずかしさも、後の快楽を知ってしまえばできないとは言えなくなった。
次第に慣れると、長太郎が興奮してる顔をみて楽しむ余裕も出てきた。まだ長太郎が小さかった時はけっこう俺の好きにできたし(一瞬のことだったけどな…)
けれど、すぐに長太郎の成長期が始まって、別人のようにでかくなったのだ。
セックスして、改めて小さい長太郎を好きだと思い始めていた俺は、また荒波に放り込まれたような気分になった。
長太郎に突っ込みたいとか思ってた俺。
いつ誘拐されてもおかしくないくらい可愛くて小さかった長太郎。
全部消えてなくなったんだぜ?
狐につままれたような気分だ。
でも。
「宍戸さんっ…、宍戸さん」
受け止めきれない快感に背中が反り返り、濡れたような声が漏れていく。
力任せに愛情をぶつけてくる、この「ネオ長太郎」からもやっぱり目を逸らすことができなかった。
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