◇会話文 | ナノ



スパイラル

「昨日の三者面談で見掛けたんやけど、宍戸ってオカンとそっくりやな」
「よく言われる。そうでもないと思うけどよ」
「いいえ!宍戸さんと宍戸さんのお母様はとても似ていますよ…!」
「なに力説してんだよ、アホ」
「なんやトリ」
「以前宍戸さんの小さい頃のアルバムを見せていただいた時のことなんですけどね…」
「宍戸のアルバムか。いかにも萌えそうやな」
「勝手に燃やすなアホ!」
「燃や…!?」
「まぁハイハイしてる宍戸さんとか猫耳つけてお遊戯してる宍戸さんとか前歯の乳歯抜けてて笑顔の宍戸さんとか虫取り網持って蝶々追いかけてたら転んで泣いちゃった宍戸さんとかは置いといてですね…」
「おまっ、人の恥ずかしい過去をばらすんじゃねぇ!言わねぇ約束で見せたんだろ!!」
「おっと、いけね」
「うっかりってかんじに言うな!わざとだろ…!」
「トリも宍戸のことになると盲目やな…そんな自慢せんでも」
「ちょっと前置きが長くなりましたが、そんな小さな宍戸さんと一緒に写ってらっしゃるお母様が、今の宍戸さんにそっくりなんですよね」
「へぇー、そうなん?」
「ぁあ?知らねーよ」
「(ご機嫌斜めや…)」
「すごい似てますよ!ちょうど髪型もポニーテールがお好きみたいで、少し前の宍戸さんと重なります。表情とかは今の宍戸さんの方が似てますけど…とても綺麗な人でした」
「おまえ、本当に宍戸好きやな。宍戸一族の顔に弱いんやろ」
「もちろん愛してるのは宍戸さんだけですけど、家にお邪魔すると竜宮城へ行ったような気持ちになりますね」
「長太郎…」
「宍戸さん…」
「そんなこと思ってたのかよ…(ドン引き)」
「はい。俺、もう好みのタイプとか分からなくなってしまいました。宍戸さんしか受け付けないっていうか」
「遺伝子レベルから宍戸が好きか…、うん…俺、トリのこと尊敬するわ。おまえらは最高にドラマチックでロマンチックなラブロマンスを見せてくれる。俺の夢すべてがおまえらにかかってる…!」
「そんな…照れますよ。俺はただ宍戸さんが好きなだけです」
「謙遜するとこがまた憎いやっちゃ。宍戸も幸せやな」
「俺が一番の幸せ者ですよ。宍戸さんに愛してもらえてるんですから」
「ごちそうさん。これからもおまえらのこと見守ってるわ」
「ありがとうございます」
「………(今日の晩飯なんだろ…)」




End.





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