銀の剣 「おぉ、ナイスサーブやん」 「ま、あんなもんでしょう。先輩方が抜けて鳳も少しはしっかりしてきましたからね」 「…なんやかんや、日吉もトリのこと信頼してんのなぁ。ええな、仲良しこよしやん」 「とんだ勘違いです」 「素直やないんやから」 「…」 「ま、日吉はそこが可愛いからええかなぁ？うん」 「知りません。気色悪いこと言わないで下さい」 「お、ほら。素直代表のお出ましやで」 「忍足先輩、ちわっす」 「お疲れさん。…あ、そうや。鳳」 「はい」 「ちょっと日吉に素直の秘訣でも教えたってぇな。このままでもええんやけどな、少ーしとんがり過ぎてるかな、思て。ツンデレの割合がなぁ。ちょっとなぁ」 「あの！俺は別に鳳みたいになりたくはないんですが！（…つん出れ？）」 「（ツンデレ？）秘訣…、特に何もないですけど。というか俺は素直なんでしょうか？」 「かぁ〜自覚なしか！トリ君。キミ、宍戸に恥ずかしい奴とかよく言われるやろ」 「え、あ…はい…怒られます…」 「素直に思ったこと口に出し過ぎってことやん。だから宍戸は照れて怒ってまうんやろ。…まぁ今回はそれをチラッと…こちらの若くんに伝授してあげて欲しいんや。…そこに宍戸おるやろ？素直だとこんなにええんやで、楽しくて幸せなんやでーっていう良さを、ぜひ若くんに伝えてやってくれ…！」 「すみません。大変失礼ですが余計なお世話です」 「つまり宍戸さんへ思ったことを素直に言えばいいんですか？」 「そそ。なんか褒めてみてください、匠の技で！」 「えっ、あ…っ、はいっ。それだけで、いいんですよね？」 「素直100％で頼んますー」 「はい…じゃあ、失礼します」 「ええか？日吉。とくと見ておけ…！」 「…はい…（…なんでこの人が自慢げなんだ）」 「お。素直の匠、早速なんか言うたな！宍戸ほんのり笑顔〜（おもろいわー）」 「ええ…（時間の無駄だ…）」 「おーおー、もうご満悦やんか。テニスのことでも褒めたんかな？」 「…（宍戸先輩も乗せられやすい所がある…と、俺は思う）」 「嫌味がないからねぇ、トリは」 「はぁ（この人何しに来たんだろう）」 「ん…アレ？」 「？鳳の奴、宍戸先輩に耳打ちし始めましたね」 「何してんやろな？…褒めてるんか？」 「…あ、宍戸先輩、ビクッてしました…」 「なんや顔が赤いな…（まさか匠…！）」 「あっ！忍足先輩、今の見ました？見ましたか？あの顔、すごく嫌味っぽくないですか！？…アイツたまにあの腹立つ顔するんですよ…！」 「え…そうなん？……って、おいおい…！えらい愉快そうやで、匠…（何しとんのやアホ！素直の方向そっちちゃうわ！）」 「…宍戸先輩は…泣きそうでブチ切れそう、といったところですかね…？」 「あちゃっ、ブン殴られたわー…アイタタタ…（あー！台無しやがな…！！）」 「慌てて縋りついてますね、あのバカ」 「…ああ…やりすぎたわ…（褒めっちゅーか…攻めを…）」 「フン。これで素直過ぎるのも良くないってことがよく分かりましたよ、忍足先輩」 「いやいや！ちゃうで日吉！今回はな、たまたま匠の技が（Ｓな方向に）光り過ぎただけで…素直はええことなんやっ…だから日吉もツン…」 「もう結構です」 「あぁ、待ってくれ日吉！話を…！」 「ちょっ、ついて来ないで下さい！」 End. 前 次 Text | Top |