◇会話文 | ナノ



CRAFTY

「なんや、元気ないなぁトリ君」
「あ…、忍足先輩…」
「何も言うな。分かっとるで。恋人とうまく行ってないんやろ?」
「べ、別に、そんなんじゃありません」
「まぁまぁ隠すなや。好きっちゅう気持ちだけじゃどないにもならんこともあるもんな?」
「え、う…まあ、はい。やっぱりそうですよね」
「そらそうや。自分、それを向こうの所為にしてへんか?自分は我慢してるのに、とか」
「はぁ…、まったくその通りです。俺はいつもそうだ……」
「失ってから気付いたかて遅いんやで。今、出来ることせえへんと」
「どうしたらいいんですか。俺、失いたくない」
「相手のこと理解してやらんとあかん。自分、恋人のことなんぼ知ってる?」
「え」
「ここに白紙がある。書き出してみいや」
「これは…イメージマップですね」
「心のままに書いてみいや。終わった時には鳳の相手への理解度が見えてくる」
「俺…やってみます!」
「よし。ええ返事や」





「長太郎……」
「あ、宍戸さん」
「さっき、ごめん。つまんねえことでキレて」
「そんな…、俺の方こそしつこくしちゃってごめんなさい。宍戸さん嫌がってたのに」
「もういいって。お互い様だろ」
「宍戸さん。好きです」
「おう」
「宍戸さんから謝ってくれて、なんていうか、嬉しい」
「俺は大人なんだよ」
「…えへへ。ですね。分かってます…。こんなことならさっきの必要無かったかもな」
「ん?何この紙」
「忍足先輩にちょっぴり相談してスッキリしたけれども……あ!」
「『子供↓、男気↑、猫←、AV女優↑↑』……なんだこれ?」
「わ!かかか勝手に見ちゃだめですっ!!」
「んだよ。長太郎のか?」
「何でもありません!ちょっとした落書きですよ」
「端っこに『R』って。……勝気な人。美人さん。引っ張っていってくれる。脚線美。優しい。可愛い……」
「宍戸さん」
「…これ、誰のことだ?」
「えーとー」
「女」
「じゃないです!!」
「……長太郎?…俺はガキじゃねえし優しいんだ…だから怒らねぇから言ってみろっつってんだろ!ああ!?」
「おお怒ってるじゃないすか〜…えぇと、えーと…宍戸さん、ベクトルですよ…」
「…俺がAV女優より上だと…?」
「あ、はい。へへ」
「……全っ然!嬉しくねぇなぁ!!」
「ぎゃー!」



End.





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