CRAFTY 「なんや、元気ないなぁトリ君」 「あ…、忍足先輩…」 「何も言うな。分かっとるで。恋人とうまく行ってないんやろ?」 「べ、別に、そんなんじゃありません」 「まぁまぁ隠すなや。好きっちゅう気持ちだけじゃどないにもならんこともあるもんな?」 「え、う…まあ、はい。やっぱりそうですよね」 「そらそうや。自分、それを向こうの所為にしてへんか?自分は我慢してるのに、とか」 「はぁ…、まったくその通りです。俺はいつもそうだ……」 「失ってから気付いたかて遅いんやで。今、出来ることせえへんと」 「どうしたらいいんですか。俺、失いたくない」 「相手のこと理解してやらんとあかん。自分、恋人のことなんぼ知ってる?」 「え」 「ここに白紙がある。書き出してみいや」 「これは…イメージマップですね」 「心のままに書いてみいや。終わった時には鳳の相手への理解度が見えてくる」 「俺…やってみます!」 「よし。ええ返事や」 * 「長太郎……」 「あ、宍戸さん」 「さっき、ごめん。つまんねえことでキレて」 「そんな…、俺の方こそしつこくしちゃってごめんなさい。宍戸さん嫌がってたのに」 「もういいって。お互い様だろ」 「宍戸さん。好きです」 「おう」 「宍戸さんから謝ってくれて、なんていうか、嬉しい」 「俺は大人なんだよ」 「…えへへ。ですね。分かってます…。こんなことならさっきの必要無かったかもな」 「ん?何この紙」 「忍足先輩にちょっぴり相談してスッキリしたけれども……あ!」 「『子供↓、男気↑、猫←、AV女優↑↑』……なんだこれ?」 「わ!かかか勝手に見ちゃだめですっ!!」 「んだよ。長太郎のか?」 「何でもありません!ちょっとした落書きですよ」 「端っこに『R』って。……勝気な人。美人さん。引っ張っていってくれる。脚線美。優しい。可愛い……」 「宍戸さん」 「…これ、誰のことだ?」 「えーとー」 「女」 「じゃないです!!」 「……長太郎?…俺はガキじゃねえし優しいんだ…だから怒らねぇから言ってみろっつってんだろ!ああ!?」 「おお怒ってるじゃないすか〜…えぇと、えーと…宍戸さん、ベクトルですよ…」 「…俺がAV女優より上だと…?」 「あ、はい。へへ」 「……全っ然!嬉しくねぇなぁ!!」 「ぎゃー!」 End. 前 次 Text | Top |