Your side effect 7 「ねぇ、さっきみたいのじゃなくて、ちゃんとキスしませんか?」 「はぁ?おまえゆっくりでいいって言ったじゃん」 「でもさっきのが初めてのキスとか嫌です。…って、俺が無理やりしたので勝手なんですけど」 「マジで勝手だな」 「そこをなんとか。お願いします…」 厳しい目を向けられて、俺は必死に頭を下げた。 「は…鼻血でたらどうするんだよ」 「それはOKってことですか?」 「………あのさ、」 「はい」 「今それをするって考えただけでもう動悸がやばいんだよ」 「俺もですよ。すごいドキドキします。あ、ここ触ってみます?」 「いやいい。だからさ、さっきのキスが初キスなんてことより、手繋ぐのも初めてな今、キスまでしちまおうっていうのはどうなんだってことだよ。ゆっくりすんだろ?」 「ですが一年後の今日、幸せな気持ちでお祝いしたいんです」 「お祝い?なんのお祝いだよ?」 「『宍戸さんと初めてキスした記念日』です」 「…………あー…なるほどな…記念日になるんだそれ…………」 「だから、お願いします」 「……分かったよ。けど一回だけだからな」 宍戸さんはため息をつきつつまた顔が赤くなっている。 それは俺のせいなんだと思うと胸がいっぱいになる。 今まであんなに遠くに感じていた宍戸さんがまた隣に戻ってきて、いや、もっと近くに来てくれたように感じた。 俺はキスができる距離まで近づくと、宍戸さんの肩に手を置いた。 「目閉じて」 意を決したように瞑られた目がおかしくて、こっそり笑ってしまった。 さっき視線を感じると言っていたから気付かれやしないかと思ったけど、宍戸さんは今それどころじゃないみたいだ。 でも俺だって緊張してる。ずーっと好きだった人と初めてキスするんだから。 恥ずかしいけど、手が震えるくらい緊張するのはあなたが大切だからってこと、いつか宍戸さんにも気付いてほしい。 今日、宍戸さんが俺を大切に思ってくれてることを教えてくれて、すごくすごく幸せな気持ちになれたから。 「はい。終わり」 「…長い…」 End. 前 次 Text | Top |