◇中学生*高校生 | ナノ



Your side effect 4

いきなり訪れた甘い雰囲気(?)に胸がどきんと高鳴った。
でも宍戸さんはなんにも考えていない気がする。これは、自分の部屋にいるもんだから、ただリラックスしてるだけ。
そうじゃなかったら俺にこんな顔してくれない……最近はますます壁作ってた感じだし……。

こうやって触られるの、久しぶりだよ…。


何度かポンポンと俺の頭を叩いた手が、そっと離れていく。

「あっ、待って!」

あまりの名残惜しさに手首を掴んだ途端、空気が変わった。
真っ黒な瞳孔が開いて、肩がかすかに震えた。
しまった、という焦燥と、やっぱり、という落胆。

「な、なに、長太郎?」

ぎこちない言葉。
目の前にいるはずの宍戸さんがすうっと遠ざかっていく。

「…そんなに嫌ですか…。そんなに俺に触られたくないですか…?」

宍戸さんは硬直したように黙ったまま何も言わない。
裏切られたような悲しみと悔しさが背筋を這い上がってくる。
掴んでいた手首を思いっきり引っ張った。

「わっ!」

倒れこんできた身体を抱きしめると、宍戸さんは逃れようと慌てて俺の身体を押した。

「痛いって!待てよ!」

それでも離さないでいると、両手で押してくる手がだんだんと本気になってきて、しまいには暴れ始めた。

「待てっていってるだろ…!」

同じ運動部、同じ男である宍戸さんはそれなりに力もある。
俺は軽く突き飛ばされた。

「長太郎!おまえ、いきなり何を、――っ!!」

腕だけで抑え込むのは無理がある。
別に深く考えてのことではなかったけれど、俺は宍戸さんを絨毯の上に押し倒した。

宍戸さんからすれば、いきなり身近な男に襲われたようなものだし、とんでもない恐怖かもしれない。放心しているうちに腰へ跨って両手を拘束すると、やっと我に返った宍戸さんの顔がみるみる青くなっていった。

「本当は気持ち悪いんでしょう」

その怯えた顔を見ていると、無性に悲しくなって、そして腹が立ってきた。
別に深く考えて押し倒したわけじゃなかったけど、ちょっと怖がらせてあげようかなんて悪魔の囁きが聞こえてくる。

「…ま、……ちょう……」

初めてのキスを、唇を一方的に押しつけるようにした。
適当に身体を弄ると、宍戸さんは一言も喋らず動かなくなってしまった。

初めて触れる好きな人の温もりに身体は興奮しながらも、気分はどん底だった。





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