Your side effect 4 いきなり訪れた甘い雰囲気(?)に胸がどきんと高鳴った。 でも宍戸さんはなんにも考えていない気がする。これは、自分の部屋にいるもんだから、ただリラックスしてるだけ。 そうじゃなかったら俺にこんな顔してくれない……最近はますます壁作ってた感じだし……。 こうやって触られるの、久しぶりだよ…。 何度かポンポンと俺の頭を叩いた手が、そっと離れていく。 「あっ、待って!」 あまりの名残惜しさに手首を掴んだ途端、空気が変わった。 真っ黒な瞳孔が開いて、肩がかすかに震えた。 しまった、という焦燥と、やっぱり、という落胆。 「な、なに、長太郎?」 ぎこちない言葉。 目の前にいるはずの宍戸さんがすうっと遠ざかっていく。 「…そんなに嫌ですか…。そんなに俺に触られたくないですか…?」 宍戸さんは硬直したように黙ったまま何も言わない。 裏切られたような悲しみと悔しさが背筋を這い上がってくる。 掴んでいた手首を思いっきり引っ張った。 「わっ!」 倒れこんできた身体を抱きしめると、宍戸さんは逃れようと慌てて俺の身体を押した。 「痛いって!待てよ!」 それでも離さないでいると、両手で押してくる手がだんだんと本気になってきて、しまいには暴れ始めた。 「待てっていってるだろ…!」 同じ運動部、同じ男である宍戸さんはそれなりに力もある。 俺は軽く突き飛ばされた。 「長太郎!おまえ、いきなり何を、――っ!!」 腕だけで抑え込むのは無理がある。 別に深く考えてのことではなかったけれど、俺は宍戸さんを絨毯の上に押し倒した。 宍戸さんからすれば、いきなり身近な男に襲われたようなものだし、とんでもない恐怖かもしれない。放心しているうちに腰へ跨って両手を拘束すると、やっと我に返った宍戸さんの顔がみるみる青くなっていった。 「本当は気持ち悪いんでしょう」 その怯えた顔を見ていると、無性に悲しくなって、そして腹が立ってきた。 別に深く考えて押し倒したわけじゃなかったけど、ちょっと怖がらせてあげようかなんて悪魔の囁きが聞こえてくる。 「…ま、……ちょう……」 初めてのキスを、唇を一方的に押しつけるようにした。 適当に身体を弄ると、宍戸さんは一言も喋らず動かなくなってしまった。 初めて触れる好きな人の温もりに身体は興奮しながらも、気分はどん底だった。 前 次 Text | Top |