SS ◇生まれたままの姿で… 「うわあああぁっ!!?」 目が覚めると、隣に宍戸さんが寝ていた。全裸で。 あ、いやパンツは穿いてるかな。布団が邪魔で見えないな…ってそんなこと考えてる場合じゃない! 昨日は初めて宍戸さんがうちに泊まってくれたんだ。 来客用の布団もあったけど…それを出す前に遊び疲れて、一緒にベッドで眠ってしまったんだっけ。 確かに俺は、ひそかに宍戸さんに片想いをしている。でもこんなイタズラするわけないよ。それとも、無意識に寝てる間に……いや、別に俺は寝相が悪いわけじゃないし、夢遊病でもない。宍戸さんにエッチなことする夢だってまだ一回しか見たことないから、こんな暴走しないと思う。 とにかく、脱がしたりなんてしてないよ! 「…んん…」 「し、宍戸さん?」 さっき俺がでかい声で叫んじゃったからか、宍戸さんがうっすら目を開けた。 寝ぼけまなこの宍戸さんは、小さい子供みたいだった。すごくかわいい。肌寒いのか、ピンク色の乳首が立っている。混乱しつつも視線はちゃっかりそこを凝視してしまう。 宍戸さんが呟いた。 「…何時?」 「え、あ、ご、5時です」 「…」 宍戸さんは布団を手繰り寄せるとまた目を閉じた。 ああ、寝ちゃう。 原因が何にしろ、この状況はほっとけない。 まず気付いて欲しくて、俺は遠回しに宍戸さんに問い掛けた。 「あ、あの!寒く…ないですか…?」 「…え?…ああ、ゴメン。後で…」 「え?後で、なんですか?」 「…から…後で着るって…。暑くて…多分、俺、脱いじまった…」 「じっ、自分で!?よ、よかっ…じゃなくてっ。それ、癖とかですか?」 うるさそうに布団を被る宍戸さんに尋ねると、ぐいとベッドに引き込まれた。 「そだよ。いーからこっち来い。寒い」 「は、はいっ!」 慌てないところがまた男らしい。俺だったら恥ずかしくて焦りまくるだろうな。 あらためて宍戸さんに尊敬と恋心を抱いた俺は、宍戸さんにくっつかれながら二度寝した。 いや、正確には、起きて宍戸さんのかわいい寝顔を見つめていた。 「7時になったら起こしますね」 「……」 聞こえてくるのは寝息だけ。 布団を掛けるふりをして、うっすら傷痕の残る肩を抱いた。 もし、宍戸さんが先に起きてびっくりしても「寝てる時の癖なんです」って素知らぬふりして言ってしまおう。 2011/03/05 |