SS
◇好き過ぎておかしくなる※

くちゅ、くちゅ

右手に包んだものが、濡れてすっかり硬くなっている。
宍戸さんは恥ずかしそうに俯いて、必死に唇を噛んでいる。声は聞こえない。でも静かな部屋には荒い吐息が充満してる。
頭がくらくらした。

いつもみたいにキスしてた。
でも妄想の中じゃ数え切れないくらい宍戸さんにえっちなことを繰り返してた。

溜まってたのか、なんなのか。
今日は我慢できなくて。

キスしながら身体に触れて、びっくりして逃げようとする宍戸さんを捕まえた。
それから、自分でする時より少し優しく、宍戸さんのを擦り始めた。

ホントに嫌だったかも、といまさら冷静になってみる。でも、男って一度硬くなっちゃうとどうしようもないから。

くちゅ、くちゅ

肩越しに覗き込むと、俺の手もベタベタ。宍戸さんの大事なところはイくための準備をどんどん整えている。
いつのまにか宍戸さんは俺にもたれ掛かっていて、もどかしげに手や足を震わせていた。
ああ、可愛い。やっぱり妄想なんかと比べ物にならないや。

それに前から思ってたけど、宍戸さんって人一倍色気がある。今確信したよ。
宍戸さんが俺を好きになってくれてよかった。誰にも取られなくてよかった。早く、全部、俺の物にしたい。宍戸さんのこんなに可愛いところを、誰にも知られないうちに。早く、全部…。

「痛っ!ば、指…いた…っ」

腕に爪が食い込む痛みで我に返った。
無意識に突き入れた中指が、第二関節のとこまでぎゅうぎゅう締め付けられている。

「ご、ごめん!」

慌てて抜いて、なぜかタメ口で謝罪。何やってんだろう。
「もういい」なのか「許さない」なのか、首が小さく横に振られた。
俺は宍戸さんをきつく抱きしめて(「逃げないように」なのか「ごめん愛してる」なのか)、また宍戸さんのを擦りはじめた。

中指を締め付けた時の感触や熱が、頭から離れない。
宍戸さんは痛いって言ったけど、ぬるついた指先はまだ奥まで侵入できそうだった。
いつセックスできるだろう。愛してるのに、こんな醜い欲求だらけ。

「んっ…!」

宍戸さんは声を合図に射精した。
俺はティッシュを用意するどころか、それをラグに飛び散らせた。宍戸さんが俺の手でイッたところを見たかったからだ。ラグなんて後で洗える。

「はぁ、はぁ…ば、かっ…ティッシュ、貸せ」
「いいから」

俺はテーブルに手を伸ばそうとする宍戸さんを捕らえた。動揺した顔を引き寄せて、むちゃくちゃなキスをした。
宍戸さんはまた硬直したけど、疲れきっているのかすぐに大人しくなる。
大丈夫。今日はこれ以上しません。

「宍戸さん…好き…好きだよ…」

自分が自分じゃないみたい。
早く、宍戸さんもこんなふうに狂ってしまえばいいのに。


2011/01/28