「なぁなぁスイッチ」

『ん?』














ーしよ!














『……は?』


朝晩が冷え込むようになった9月の終わり頃。

ボッスンの家に遊びに来ていた俺たちだったが、ヒメコが急用ができたからと言って出て行ってしまった。
2人きりになって暇を持て余していた時だった。ボッスンがキスを要求してきた。
一体どういう風の吹き回しなのだろうか…ボッスンの表情からは一切読み取れない。


「だから
ちゅーしようぜ」


いや、そうではなくだな…。


『何故』


という意味の『は?』であって。


「ちゅーしたいから」


ニィ、と、子どもっぽさの残る笑顔で答えたボッスン。
ダメだ。意味が分からない。


「な、いいだろスイッチー
ちゅ〜」

『待て。早まるな』


ヤバ沢さんのような口をして寄ってくるボッスンの頭を片手で掴み、これ以上寄ってこられないようにする。
うー、うーと呻きながら押してくるボッスンはさながら酔っ払いのお父さんだ。


『落ち着け』

「これが落ち着けるか!」

『何を焦ってるんだ?』

「焦ってはねーけど…久しぶりに2人きりになれたんだから、いいじゃねーか!」


……そういうことか。
今更だが、俺とボッスンは付き合っている。
ヒメコの居る前でいちゃつく訳にもいかないし、家でも親が居るしボッスンには妹もいるわけだからベタベタすることはできない。

それが、今ボッスンの家にいるのはボッスンと俺だけ。

鬼の居ぬ間に洗濯、ということなんだろう。


『……分かった』

「よっしゃ!」


ニッと歯を見せて笑ったのを最後に、ボッスンの顔が真剣になった。
視線が重なる。
徐々にボッスンの顔が近くなってくる。
どうしても恥ずかしさが勝って、俯いてしまった。


「だめ、スイッチ」


頭上からボッスンの低い声。
顎をもたれてくい、と上にあげられる。


「こっち、見て」


囁かれて、赤くなる顔。
直後に、触れるだけの、甘い甘い口付け。

むずがゆいそれに、身体が震えた。

不意に唇が離れた。
何かと目をあけると、そこにはボッスンの無邪気な笑顔。


「あいしてる」

『…俺もだ』


再び俺たちは唇を重ねた。
今度は、甘くて濃厚な、深い深い口付けを。




俺は相当ボッスンの事が好きらしい。





end.
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前サイトから持ってきました。

くぇんてぃーな様へ300hitキリリク作品
ボッスイで甘々

でした。