然はその切れ長の双眸の瞼をそっと開く。彼の髪と同様に白い睫毛が揺れた。紅の瞳に砂漠と荒れ地と化した世界が映り、彼は思わず溜め息を吐く。

少年の姿から、すらりと伸びる手足と細身でありながらもがっしりとした体躯を手に入れた彼は、血のこびりついた剣を握る。

彼の仕事は世界の破壊、否、消失。

己の主人とも呼べる少女の手を煩わせたくない、その思いから武器を手に取った。

彼女もまた彼に元からこの仕事を任せる気であったし、それは彼にとって苦痛ではないと思ったから。

しかし彼は若干苦しげに眉を寄せる。元々然は無表情である事が多かったが、この仕事の時だけはその顔を歪めた。

彼の足元には、誰かの、頭蓋。

「掘り返さないでくれるかい、倉。処理が面倒なんだよ」

子供の声とは違う低い声で、然は呟き軍帽を深く被り直す。

少し遠く離れた所で、全身真っ黒の毛並みをした犬が、不機嫌そうに、そっぽを向いた。


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