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「あ、そうか。稔の家族って海外いるんだっけ」

 さすがにハッピーニューイヤーは家族で過ごすよね。
 海外で年越しかぁ、グローバルだなぁ。
 オーストラリアのサンタはサーフィンしながら現れるって本当なのかなぁ。
 子どもに夢与える前に自分がバカンス満喫し過ぎだろ、なんて素敵なおじい様なの。
 
「いや……寮開いてるらしいから、ここで」
「はあぁぁあ!? 開いてるって、開いてるだけだよ!? 食堂とかやってないよ!?」
「まぁ何とかなるかなって」
「ならないよ! ならない、稔ご飯なんて作れないでしょ、2週間全部レトルトとかインスタントで済ませる気!? そんなしょっぱいクリスマスとお正月私許さない!」

 決めた、決めた、決めました。
 冬休みも稔は私の家にホームステイさせます。強制連行します。
 
 私と姉作の堂島家オリジナル年越しそば&お節をくいやがれ!
 
「さすがに正月にお邪魔するわけには……」
「いいんだよ、家族水入らずとか気にする人達じゃないから。お母さんに稔の事話したら一度会ってみたいって言ってたし」

 夏休みに稔を連れて帰る前、やっぱ男の子を長期滞在させるわけだから親の許可はちゃんと取っていた。
 結局1ヶ月以上もの間に、1度として顔を合わせなかった両親と稔。

 父親の方はどう思ってたかしらないけど、母親は稔に興味あったらしい。
 姉がそれとなく探り入れられたよって教えてくれたから。
 
「つかさ、稔こそ全然家族に会いに行かなくていいの?」
「それこそいいんだって。日本にいた時だってほっとんど会わなかったし」

 ふぅん、まぁうちも同じ家にいても年に数える程しか一緒にいる日ってなかったけどね。
 
 でも同じ家にいて会える環境にいるのと、国が違って時差もあるような遠距離にいる環境とじゃ、やっぱ気持ちも違って来ると思うんだけど。
 
 別に不仲じゃないって前言ってたし、気にすることはないんだろう、多分。
 あんま立ち入っちゃいけないよね、家族の話は。
 これ以上は聞くまい。
 
「稔さえいいなら、ウチはいつでも大歓迎だよ」
「……ちょっと考えとく。ありがと」

 どきん! って女の子なら胸を高鳴らせるようなありがとうだった。
 いいありがとうをいただいて、こちらこそありがとう、みたいな。
 
 そんな良い顔で言いやがったこのイケメン。
 私じゃなかったら惚れてたぞ!



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