Lesson.00

 夏の終わり。
 秋の始まり。



「ねえ」
「なあに?」

 僕は、隣で気持ちよさそうに寝転がっている女の子に話しかけた。
 その子は幸せそうに僕を見つめている。
 僕はタバコに火をつけて、愛の言葉を囁くように語りかけた。

「別れよっか」
「――え?」
「だから別れようって」

 ね? と同意を求めても、女の子は目を見開くばかり。
 まあ、それもそうか。付き合ってまだ一週間くらいだし。

「な、んで?」

 僕は伸びをして、タバコをもみ消す。
 ゆらりと漂う紫煙を目で追いながら、僕はぶるぶると肩を震わせる女の子にふわりと笑いかけて、至極当たり前のように問いに答えた。

「好きな子ができたから」

 だから。

「別れよ?」



 そう。僕は君に恋をした。
 風に靡くあの髪を触りたいと思った。キラキラと光るあの瞳を僕だけを映して欲しかった。
 ただ、それだけのこと。





 君は僕の青い鳥。


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