時代を越えて

気がつくと自分はそこに立っていた。
テレビでも見たことがある時代劇に出てきそうな建物。そして人物。


「えっと…」


悩んでいるうちに周りにいた着物や袴を着た人達の注目の的。
どう考えても学校の制服を着ている他とは違う自分は怪しい奴。
とりあえず今の状況を考えその場を離れる。しかしどこ行っても見られているとしか感じられず、人目のつかない裏路地へと回り込んだ。


「さて、どうするか。携帯はポケットに入ってたけど…電波は入らないよなぁ」


幸い制服のポケットに入っていた携帯の画面を見てはやっぱ圏外だよなぁなんて呟いてみる。
裏路地に入ったとはいえ人は通るにちがいない。
途方にくれているときに背後から声をかけられた。


「そこのお兄さん」


振り返るとこれまた柄の悪そうなおっさん達が3人。いや、お兄さん達?
ニヤニヤしながらこちらに近づいてくる。これは確実にヤバそうな雰囲気。
こっちが一歩下がるとあっちも一歩と確実に距離を狭めてくる。
そして遂には腰から下げていた刀を鞘から抜いて、刃先をこちらに向けていた。


「変わった格好をしてるな」

「これは…」


説明したところで「はい、そうですか」と答えて見逃してくれるような人達には見えない。
後ろに下がるが不意に何かにぶつかる。
振り向けばそこは壁。左右に逃げようと思っても男達は少年を逃がすまいと囲んでいた。
そして刀はとうとう振り上げられそれを最後に切られるのを覚悟し目を瞑った。
だが痛みは無く、変わりに男達の叫び声だった。





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