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「これで君も晴れて国家錬金術師だな」

「違うだろ…『軍の狗』だろ?」


東方司令部のある部屋で、黒髪の男とこのあたりでは珍しい淡い空色のした髪の少年が話をしていた。
『国家錬金術師』に『軍の狗』という言葉。
ただの一般人であれば決して関係のない言葉。しかしこの二人からしてみれば関係のないとは言えない言葉。





軍の人間だから…─





「まぁ、これで君はひとつ夢に近づいたことになる」

「夢…よりかは希望だな」

「しかし大総統もまた君に合いそうな二つ名をつけたな」


国家錬金術師には二つ名が与えられる。
黒髪の男はここらでは有名な人物。名を『ロイ・マスタング』といい、二つ名は『焔』。若くして大佐の地位を持っている。
そして空色の少年『シアングレス・シルヴィア』もまた、これから国家錬金術師として『焔』の下で働くことになるのだ。


「シアン、君の二つ名は『樹氷』だ」

「『樹氷』ね…それにしても、アンタの下ってのが嫌だ」

「人見知りが激しい君を思って私の部下にしたんだ。ありがたく思いなさい」


ありがたくねぇと相手には聞こえないぐらいの声で呟く。
ロイもシアンの為だと思い上の者に頭を下げたのだろう。めったに頭を下げないロイの姿が、シアンの目に浮かんだ。
正直、国家錬金術師になると言ったとき、そしてなった今、なんだかんだとよくしてもらっているのだ。今ではすっかり居候とまでなってる存在。恩返しとまではいかないが、確かに数え切れないほど世話になっている。そのため兄、姉のように慕っているホークアイ中尉、ハボック少尉達のようにロイを支えてやりたいと思っているのだ。


(そのときはなんでもする覚悟はできてるけどな…)


普通に接していればこんな言葉はでないだろう。
それだけシアンとロイとの関係は深いのだ。








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