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トレインジャック事件が無事解決し、東方司令部の執務室へ戻ってきたロイとシアン。そして新たにエドワード、アルフォンス。
そんなエドワードはソファへ堂々と座り肘をつきながらニヤリと笑みを浮かべた。


「今回の件でひとつ貸しができたね大佐」


それはもう心の底から楽しそうに。


「…君に借りを作るのは気色が悪い。いいだろう。何が望みだね」

「さっすが♪話が早いね」

「その前に。君に紹介したい人物がいる」


疑問符を頭に浮かべるエドワード。
ロイが自分の横で立っている人物にちらっと目を向けるとその人物がエドワードの前へ出た。
透き通ったような空の色をした髪。まるで見惚れたかのように目が離せなかった。


「シアングレス・シルヴィア。国家錬金術師になったばかりで二つ名は『樹氷』。よろしく」

「あ、あぁ。オレはエドワード・エルリック。二つ名は…知ってると思うけど『鋼』だ」


お互い握手を交わす。
そこまではよかったのだが、エドワードのある一言で穏やかな空気が一気に変わった。
シアンにとってはある意味禁句と言っていい一言。


「それにしても女の国家錬金術師って初めてだな」

「ちょ…兄さん!!」


『女』と言われ顔は爽やかな笑顔を保たれているがオーラというかなんというか、何かが変わったシアン。それをアルフォンスが見てやっちゃったと頭を抱える。
ちなみに周りなんて関係なし。シアンはエドワードにこれでもかと思うほどの毒舌を吐いた。


「鋼の錬金術師さんってのは人の性別もわからないんだな」

「なっ…!?」


そんなやりとりを見て一人くつくつと笑いを堪えるロイ。シアンからは笑うなと言われるがこれを笑わずにいられない。
そしてまだ理解をしていないエドワードのためにロイからの助言。


「彼は、男だよ鋼の」


「……は?」


これでもかと思うほど瞳を見開くエドワード。
しかし間違うのも頷けるのだから仕方がない。背は同じか少し高いぐらい。左目に傷があるとしても顔立ちは中性。
ぶっちゃけた話、初対面であれば必ずと言っていいほど女と間違われる。エドワードも間違えて当然と言っちゃ当然なのだ。


「分かったか?鋼の錬金術師さん」


シアンの言葉からは嫌味にも聞こえたが、このまま逆らうとどうなるのか想像できず、エドワードは小さく『はい』と呟きこの話は終わった。








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