R18
「うんっ・・・・・・。」
メフィストはただの風邪だと言っていたが、しんどいものはしんどい。
今俺は安静にしなければいけないため、メフィストの屋敷の寝室のベッドの上だ。
身体が熱いし、頭もぼうっとする。
吐く息もどこか熱っぽく、潤んだ視界はメフィストに邪魔だろうからと眼鏡をとられたため不明瞭だ。
頬にそっと冷たいなにかが触れる。
よく見えない視界でも分かる、これはメフィストの手だ。
熱っぽい身体にはその冷たさが心地よくて、その手に擦り寄り手を重ねる。
見上げるとメフィストの姿があった。
「大丈夫ですか、獅郎?」
不鮮明ながらもその声音からメフィストが俺をひどく心配していることが分かる。
メフィストは俺を医者に診せた後は、人払いをして一人で俺の看病をしている。
俺が「仕事はいいのか?」と尋ねると「仕事なんかよりも貴方の方がずっと大切です。愛しい貴方が苦しんでいるのに仕事なんてできるわけがないでしょう?」と答えた通り、ずっと俺につきっきりだ。
「なにか飲みますか?」
喉が渇いていたためメフィストの言葉に頷く。
するとメフィストが寝ている俺の背中に手をまわしてきてそっと抱き起こしてくれる。
メフィストに支えられながら、差し出されたコップを受け取り飲む。
「はぁっ・・・・・なんかおまえ、すごく優しいな・・・。どうしたんだ?」
「弱っている恋人には優しく接するものでしょう?それに貴方には早く治ってもらわないといけませんから。」
私以外のものが貴方にそんな顔をさせていると思うとひどく不愉快です。
優しさのなかに嫉妬を滲ませた声でそう言うと、メフィストは俺の額にそっと触れる。
「ああ、少しは熱が下がってきたようですね。薬が効いてきたみたいです。そうだ、そろそろ包帯を取り替えないといけませんね。」
メフィストが指をパチンッと鳴らし、包帯を取り出す。
俺が着ていたシャツのボタンを外していき、前を肌蹴させる。
「汗をかいているようですから、着替えた方がいいかもしれませんねぇ。それにしても・・・やっぱりムカつきますね・・・。」
包帯をほどいて現れた肩のケガを見たメフィストの瞳にギラリと凶暴な光が宿る。
条件反射で俺がビクッと身体を揺らすと、メフィストが苦笑し宥めるように俺の額に口づける。
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。今の貴方になにかするほど私は鬼ではありません。」
傷を消毒し、メフィストが包帯を巻いていく。
「そこまでひどいケガではないですから、治るのにそんなに時間はかからないでしょうね。まぁそうでないと困りますけど。汗で湿って不快でしょうから、上だけでも着替えます?」
汗をかいて気持ち悪かったため、メフィストの言葉に頷く。
「ちょっと待っててください。」
そう言うとメフィストは立ち上がり、部屋から出て行く。
着替えでも取りに行ったんだろうと、俺は息を吐く。
そして自分のした行動を思い出し、思わず羞恥で頭を抱える。
あまり記憶は定かではないが、俺はなんか恥ずかしいことをしたような気がする。
もともと身体が丈夫であまり病気になったりしないので、苦しさのピークの時に少し心細くなってメフィストの手を握ってしまったような・・・。
「あぁぁぁ〜」と俺が悶えていると、ガチャリとドアが開く音がしたのでそっちをチラッと見る。
「なにしてるんですか、獅郎?はっ、もしかしてどこか痛くなったりしたんですか?!」
不思議そうな顔から一気に心配そうな顔になったメフィストに対し、慌ててその誤解をとくために首を振る。
すると、クラッと眩暈がして前に崩れ落ちそうになったが、メフィストの腕がそっと胸を支えてくれた。
さっきまでドアのところにいたのにいつのまにかベッドの横に立っているメフィストを見上げる。
「大丈夫ですか、獅郎?」
「ああ、ありがとな・・・。」
ふわりと笑ってメフィストに礼を言う。
普段はなかなか素直になれないけど、メフィストが献身的な看病をしてくれるためかするりと口から出た。
メフィストは一瞬驚いたように瞳を見開いたが、すぐに嬉しそうに笑ってくれた。
「ついでに身体を拭いて差し上げようと思いまして。」
メフィストの手には新しいシャツと濡れたタオルがあった。
メフィストが俺の着ていたシャツを脱がし、濡れたタオルで俺の身体を拭いていく。
「汗ばんだうなじがエロいですね・・・。噛み付きたくなります。」
メフィストが俺のうなじに息を吹きかけながら言い、ぺろりと舌で舐める。
「んっ・・・メフィストッ!」
ビクリと身体が反応してしまい、咎めるようにメフィストを睨んで名を呼ぶ。
「分かってますよ・・・。今はヤッたりしませんよ。」
でも、後でちゃんといただきます。
「あ?」
メフィストがぼそりとなにか呟いたが聞き取れなかったので、気になってメフィストを見る。
だが、メフィストはにこりと笑うだけでなにも言わなかった。
なにかとメフィストはちょっかいをかけてきたが、熱のために十分に身体の自由が利かないので満足に抵抗できない俺に配慮したのか悪戯の域を超えたものはしてこなかった。
「それで、どうしますか?眠ります?」
シャツを俺に羽織らせながら、メフィストが尋ねてくる。
本当は寝た方がいいのだろうが、いかんせんさっきまで散々寝ていたため全く眠くない。
そのことを伝えると、メフィストは思案するような表情を浮かべる。
「ああ、そうだ。貴方、食欲がないと言って倒れてからまだ何も食べていませんから、なにか食べたらどうですか?」
「そうだな。」
いいことを思いついたとでも言いたげなメフィストに俺も同意する。
熱を早く下げるためには栄養を取ることも大切だ。
これ以上メフィストに負担をかけたくないから、早く治したい。
「分かりました。お粥でいいですよね?少し待っててくださいね。」
そう言うとメフィストは再び部屋から出て行った。
ベッドサイドに置かれていた眼鏡をつかんでかけると、溜め息を吐く。
メフィストに心配をかけたくなかったから無理をおして任務に行ったのに、負傷したあげく倒れて結局メフィストに心配をかけている。
その事実に日頃の不摂生な生活を少し反省する。
そして、気を失う前のメフィストの言葉を思い出す。
あいつ、絶対本気だったよな・・・。
メフィストが俺のことを愛してくれているのは十分知っている。
普段は少し意地は悪いがメフィストなりに俺のことを大切にしてくれている。
でも、たとえば俺が今みたいにケガをしたり、メフィストの前で他のヤツを褒めたりなんかするとあいつはすぐに機嫌が悪くなる。
嫉妬深くて独占欲が強いのが悪魔の愛情表現なのだろうか。
「あ〜あ、このままだと俺、いつかあいつに閉じ込められるかもしんねぇな・・・。」
祓魔師という仕事上、ケガと無縁ではいられない。
俺がケガするとメフィストは怒るけど、怒った顔をする前にあいつは一瞬傷ついた表情をする。
まるで自分が傷を負ったかのように。
あいつがそのことに気づいてるのかは知らねぇけど。
あいつに怒られることや閉じ込められるかもしれない危険より、俺はメフィストが傷ついた顔をするのが一番怖い。
メフィストの傷ついた表情なんて見たくない。
はっ・・・閉じ込められたりすることよりメフィストを気にするなんて、俺もだいぶあいつに絆されてんなぁ・・・。
「お待たせしました〜☆メフィスト特製のお粥ですよ〜。」
メフィストがなぜかテンション高く戻って来る。
メフィストのテンションが高い時はたいてい俺にとってろくでもないことが起きるので、反射的に身体を強張らせる。
そして次の瞬間、俺の視界に入ってきたものは俺の人生のなかでもかなり上位にランクインするほど衝撃的なものだった。
「メ・・フィスト・・・それは・・・なんだ・・・?」
「さっき言ったでしょう?お粥ですよ。」
俺の切実な問いにメフィストは心底不思議そうに首を傾げる。
だが、俺にとってそんなことはどうでもよかった。
そんなことより俺の目も頭も目の前にある謎の物体に釘付けだった。
一目でこれは食べてはいけないものだと分かる毒々しい色合いと悪臭に、ごぽごぽと泡立つそれ。
これがお粥だと?!
俺が今までお粥だと思ってきたものとなにもかもが違う・・・。
いや、むしろこれをお粥だと称すること自体がお粥に対して失礼極まりない。
お粥だぞ、他の料理ならともかく作るのが大して難しくないあのお粥なのに・・・。
確かにメフィストが料理ができるとは思えなかったが、まさかここまでとは・・・。
ある意味奇跡とも言えるかもしれない現象に俺は戦慄する。
「どうしたんですか、獅郎?食べないんですか?あっ、それとも食べさせてほしいんですか?」
普段なら言い返すようなメフィストの軽口にも反応できないほど、俺は追い詰められていた。
これを食べないといけないのか、俺は?!
普段なら、そう普段なら、なにがあっても食べたりはしなかっただろう。
だが今の俺は散々メフィストに迷惑や心配をかけている状態だ。
しかも、これは(おそらく)メフィストが純粋に俺を心配して作ってくれたものだ。
それに、もしこれを食べないとまたメフィストに心配をかけることになるだろう。
食べるしか道はなかった。
どんな危険な任務に向かう時よりも必死に勇気をかき集め、自分を奮いたたせる。
大丈夫だ、たぶん死にはしない・・・はず。
一度目を閉じて覚悟を決めるとそれが揺らがないうちにと急いでスプーンをつかむ。
だが、いざ食べようとするとその圧倒的な毒々しさに俺の手がとまる。
今まで戦ってきたどの悪魔よりも凶悪だ。
「獅郎?」
スプーンを持ったまま固まった俺を訝しく思ったのだろう、メフィストが名を呼んでくる。
その声で我に返り、俺は目の前のそれを凝視する。
ダメだ、見ると決心が揺らぐ。
ぎゅっときつく目をつぶると一気にそれをかきこんで、咀嚼せずに飲み込む。
「?!がはっ、げほっげほっ、うぇ・・・ぐっ?!」
それにもかかわらず俺の口内を筆舌に尽くしがたい未知の味が蹂躙する。
吐き気がしたので思わず口を手で覆う。
身体が激しい拒絶反応を示し、意識が遠のく。
そして、俺の手からスプーンが落ちた音を最後に俺は意識を失った。
「あれ?獅郎〜?おかしいですね、どうしたんでしょうか?そんな催眠効果のあるものは入れてないはずですが・・・。う〜ん、風邪に効くというのでネギや唐辛子に生姜、みかんなどを入れてみたんですがねぇ。」
その悪魔の呟きが俺に聞こえることはなかった。
「んっ・・・・・。」
俺が目を覚ますと、それまでずっとだるかったのがだいぶマシになっていることに気がついた。
頭もだいぶスッキリして、気分もいいとはいえないがだいぶ良くなっている。
「あっ、獅郎、気がつきました?貴方、結構寝てたんですよ。でもそのおかげで熱が下がりました。身体はどうですか?」
「ああ・・・全快ってわけじゃねぇけどだいぶマシ・・・。」
身体を起こし、眼鏡をかける。
「そうですか。良かったですね。これで私も我慢しなくてすみます☆」
メフィストに身体を強く押され、再びベッドに仰向けに倒れこむ。
そして、俺の身体の上にメフィストが乗り覆いかぶさってくる。
「メフィ・・スト・・・?」
状況が把握できず困惑する俺に対してメフィストは満面の笑顔だ。
「さすがにあれだけ弱っていた貴方に無理を強いることはできませんでしたからねぇ。ほら、私って紳士ですから☆でも、熱は下がりましたしだいぶ体調も良くなったみたいですから、もういいですよね?いい加減いろいろと限界だったんですよ☆」
そう言ってメフィストはウィンクしてみせる。
満面の笑顔であるにもかかわらず不穏な空気を醸し出すメフィストに身の危険を感じ逃げようとするも、相手が悪魔(しかも本気)である上に良くなったとはいえまだ本調子ではないため身体に力が入らず、逃げるどころか抵抗らしい抵抗さえできない。
「無駄な抵抗はやめてください。これから体力が必要なことをするんですから、後が大変になりますよ。あんなに献身的に貴方に尽くしたんですからご褒美くらいくれてもいいでしょう?それに、貴方が倒れたのでうやむやになっていましたがそのケガ、許したわけじゃありませんから☆お仕置きです。貴方が誰のものなのかはっきり分からせて差し上げます☆」
「やっ・・・メフィストッ・・やめっ・・・んっ・・・。」
メフィストを制止しようと口を開いたが最後まで言葉を紡ぐ前にメフィストに唇を塞がれる。
開いた唇からメフィストの舌が咥内に侵入し、我が物顔で好き勝手に蹂躙する。
流されまいと舌を奥に引っ込めるが、いとも簡単にメフィストの舌に捕らわれる。
絡み合った俺の舌を器用にメフィストは甘噛みする。
ゾクリと俺の身体に甘い痺れが広がり、意識が朦朧としてくる。
「んっ・・・はぁ・・・・っ・・・・。」
メフィストを押し返そうとメフィストの肩に触れていた俺の手がぱたりとシーツの上に力なく落ちたところでようやく唇が離される。
酸素が足りなくて荒く息を乱す俺を見てメフィストはニヤリと笑う。
メフィストの指が俺のシャツのボタンに伸び、外していく。
俺はといえば、呼吸を整えるのに必死でされるがままだった。
俺の肩に巻かれた包帯を見てメフィストはひどく不愉快そうに顔を歪めると、大きく口を開いた。
メフィストが悪魔であることを示す牙があらわになる。
メフィストの瞳がギラリと嗜虐の色を帯びると、そのまま肩に顔を近づけ思いきり牙をつきたてた。
「あっ・・・いっ・・・・・ぐっ・・・。」
突如生じた激痛に顔を歪める。
白い包帯が血で赤く染まる。
口を離したメフィストは己がつけた傷に手を伸ばしそっと撫でる。
「本当に忌々しい・・・。獅郎に傷をつけていいのは私だけだというのに・・・。でもまぁこれで上塗りできた。」
そう言うと自分の指についた俺の血をぺろりと舐める。
その仕草があまりにも凄絶な色気を纏っていて俺は瞳を見開く。
メフィストは俺の首筋を舌で舐めると、そこにきつく吸い付く。
「うあっ・・・メフィ・・スト・・・そこ・・痕・・・つけんなっ。」
見える位置に痕をつけられるのが嫌でメフィストに抗議するけれど、メフィストはまるきり相手にしない。
白い肌に映える紅い痕を満足げに撫でながらメフィストが言う。
「貴方が誰のものか分からせてあげると言ったでしょう?貴方は私の、私だけのものです、獅郎。これはその印ですよ。こうやってつけておけば貴方に手を出そうなんて考える愚かな輩が減るでしょう?」
「はっ・・・おまえ、なに心配してんだよっ。俺に手ぇ出すヤツなんておまえくらいだろ・・・?」
容姿端麗なわけでもないし、もう若くはない。
そんな俺に手を出そうとするヤツなんて目の前にいる物好きな悪魔くらいだ。
「・・・・・貴方はどうやら自分をよく分かっていないようですね。自分がどれだけ魅力的か。この私を、そして父上まで夢中にさせておきながら・・・。どれだけの者が貴方に心を奪われているか貴方は知らないんでしょうね。まぁ私が徹底的に排除していますから当然かもしれませんが。」
排除という不穏な響きを持つ言葉に反応する。
それに気づいたのかメフィストが少し口調を和らげて補足する。
「排除といってもべつに殺したり傷つけたりしていませんよ。ちゃんと合法的・人道的かつ紳士的な手段を用いていますから。」
メフィストが言うように俺に惚れているヤツなんてそんなにたくさんいるとは思えない。
なかにはこの悪魔と同じように物好きなヤツもいるかもしれないが。
でも、そんなふうに排除したり所有印をつけたりしなくても俺がメフィスト以外に惚れるなんてあり得ないのに。
「んぁ・・・ふぅ・・・・ぁっ・・・。」
メフィストは痕をつける位置をどんどん下にずらしていく。
ついに胸までたどり着くとメフィストは俺の胸に顔を埋め、痕をつけた後で胸の飾りを口に含む。
胸の飾りを吸われて甘噛みされ、抑え切れない喘ぎ声が漏れる。
それがたまらなく嫌で口を手で抑えるけれど、メフィストの手によって外される。
「獅郎、声を抑えないでください。私は貴方の声が聞きたい。貴方を感じたい。」
「うっ・・・・・。」
真顔でメフィストに言われ、逆らえなくなる。
くそっ、不覚にもかっこいいとか嬉しいとか思っちまったじゃねーか・・・。
メフィストの手が下に伸び、下着ごとズボンを脱がされる。
メフィストの前に全てが曝け出されて羞恥で顔がさらに赤く染まる。
「熱があったせいですかね・・・?いつもよりも感じているみたいですよ、ココ。」
メフィストは先走りで濡れた俺自身にそっと触れる。
さっきよりダイレクトな刺激に身体がビクビクッと跳ね、生理的な涙が頬を伝う。
メフィストはその涙を舐め取ると、先走りで濡れた指を俺の中に侵入させる。
「あぁっ・・・やっ・・・メフィスト・・・。」
中を弄くられて気持ち悪さじゃなくて快感を感じるから、俺は拒否する言葉を吐く。
このままでは自分が快楽に支配されてしまう。
メフィストと何度もしたことのある行為だけれど、やはり自分が自分ではなくなってしまうようで怖い。
メフィストはそんな俺を安心させるように、額や唇などに触れるだけのキスの雨を降らせる。
ディープキスやセックスは自分で自分を制御できなくなる感覚に陥るから苦手だが、メフィストとする触れるだけのキスは好きだ。
メフィストに愛されてんだなと一番実感できるし、なにより幸せな気持ちになる。
俺の中からメフィストの指が引き抜かれたかと思うと、熱いなにかがそこに押し付けられる。
見えなくても分かる、メフィストのものだ。
今からこの熱いものが俺の中に入ってくる。
何度も受け入れてきたけれど、やっぱり恐怖感は消えない。
不安げにメフィストを見上げると、メフィストの手が伸びてきて目の縁に溜まっていた涙を拭ってくれた。
そのおかげでクリアになった視界にメフィストの表情が映りこむ。
ふわりと優しげに、俺が一番好きな笑顔を浮かべたメフィスト。
その笑顔を見た途端に胸が締め付けられて再び視界が滲む。
「獅郎、挿れても大丈夫ですか?」
そう尋ねてきたメフィストにこくりと頷く。
そして、メフィストの背中に縋りつくように手をまわす。
「愛していますよ、獅郎。」
耳元でそう囁かれたのと同時に一気にメフィストのものが俺の中に入ってくる。
背を反らして大きく喘ぎ、メフィストにしがみつく腕に力が入る。
いつもなら激しく呼吸が乱れた俺が落ち着くまで待ってくれるのに、今回はすぐに激しい律動が開始される。
「やっ・・・メフィッ・・まだっ・・・む・・り・・・。」
いやいやと俺が首を横に振るのを無視して、メフィストは俺の腰を掴んで固定すると激しく揺さぶってくる。
強すぎる快楽に理性を保てない。
声をこらえることもできずに喘ぐ。
「っ・・・・・獅郎・・・。」
「あっ・・・もっ・・・・むり・・・イくっ・・・!」
俺自身から白濁が散るのと同時に胎内で熱が弾ける。
メフィストの熱が俺の中に注ぎ込まれる。
「あぅ・・・あちぃ・・・はぁはぁ・・・・うっ・・・。」
荒い呼吸を繰り返し落ち着こうとしていると、イッたばかりのメフィストが再び腰を動かす。
「あっ?!・・な・・で・・・うご・・くなっ・・・やぁっ・・・。」
抜いてほしいと涙目で懇願する俺に対しメフィストはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。
「嫌ですよっ・・・言ったでしょう?これは私に対するご褒美であり貴方へのお仕置きでもあるんですよっ・・・?それにあんなに美味しそうな貴方を見せつけられながらも必死に我慢したんだっ。たかが一回イッたくらいで満足できるわけがないでしょう?っ・・・私が満足できるまで付き合ってもらいますよっ・・・。」
「?!やっ・・・メフィストッ・・・っ・・・・・。」
後始末を済ませて、ベッドで眠る彼のもとに戻る。
病み上がり(しかもケガ人)である彼に無茶をさせてしまったためか、彼は深い眠りにおちている。
そっと愛しげに彼の白い髪に触れる。
そして真新しい包帯に目を留めるとわずかに顔を歪める。
「獅郎・・・すみませんでした。貴方を守ると誓ったのに守るどころか傷を負わせてしまって・・・。でも、貴方も悪いんですよ・・・?貴方がおとなしく私に守られてくれないから・・・。貴方は自分がどれだけ私に愛されてるか分かってないんでしょうね。貴方が思っているよりもずっと貴方のことを大切に思っています。自分でも驚くくらい貴方に夢中だ・・・。だからね、獅郎、どうか・・・Sei doch immer bei mir nahe zum Greifen。」
最愛の恋人の唇にそっと触れるだけのキスを贈った。
……………
敬愛なる來麗様より頂戴いたしました!
り、理想のメフィ藤に吐血いたしました、ありがとうございます…!!!
お誕生日のお祝いに、とのお言葉に甘え、厚かましくも以前頂戴いたしました「嫉妬」の続編を所望しましたら…もう…っ(悶絶中)
タイトルの意味をお尋ねいたしましたら、私、爆発いたしました。ご馳走様です!
この度は素敵すぎる小説を、本当にありがとうございましたっ!!
11.09.16
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