「シュラ頼む匿ってくれっ!」
「えっ、ちょっ……、昨日の今日でこれ…?」
「――いやぁ、貴女の手を煩わせたようで…お騒がせしました」
「!?」
「(うわー、ややこしいのがまた増えたよ)…あー、うん、とりあえず獅郎に用あり?」
「ええ。折角蟠りが無くなり和解したのです。
愛しい者と甘い時間を過ごしたいと思うのは、自然の道理でしょう」
「いやいやだったらお互い語り合おうな、押し倒すなよなこの絶倫悪魔が!」
「(あー…帰りてぇ…)……………うん、マジでアタシを挟んで痴話喧嘩やめような?」
「ほら、シュラも困っているでしょう。早くこっちへ来なさい」
「そっち行ったら貞操の危機を感じるから丁重に断る」
「――だったらこうしましょう。
今日一日、私から逃げ切れたら、暫く貴方に触れません。ただし、捕まったときは――解りますよね?」
「(やべぇ目がマジだ…!)っ、逃げ切れたらいいんだろ…やってやるよ」
「おい獅郎、素直に止めといたほうが……って、聞いちゃいねぇ!あいつ、もう行ったのかよ!!」「窓から飛び降りて逃げるとは身軽ですねぇ」
「……メフィスト、あんまウチの師匠で遊ばないでくんない?」
「おや、心外ですね。愛故に、ですよ」
「へぇ…お前の愛は、アタシの師匠の身体を無理矢理拓いて好き勝手にするもんなの?」
「くくっ……聡い女性は嫌いじゃあない。
昨日のアレは、可愛かったでしょう?」
「気持ち悪かったの間違いだろ。なんであんなことしたんだよ」
「なぁに……悪魔はとんでもなく嫉妬深く、独占欲が強いってだけですよ。聡い貴女なら解るでしょう、私の気持ちが」
「………」
「貴女はアレの弟子だから大目に見ていますが、あまりアレに近付かないでくださいね?」
「(こいつ…)アタシの場合は不可抗力なんだが」
「そうでしたね。では、愉しい追いかけっこかあるので、失敬」
ぼんっ
「――――獅郎、逃げ切れ……なさそうだよな、相手があいつだし」
捕まったあとは――うん、考えないでおこう。
「しっかしまぁ、とんでもない奴に好かれたもんだな。………とてもじゃないが、アタシは御免だ」
シュラは深々と息を吐き、二人が飛び出した窓を見遣る。
仲直りしただけ、まだマシか。
あいつらは、あれ位が丁度いいから。
「手の掛かる恋人達だぜ、全くよぉ…」
(だからいい加減、アタシを巻き込まないでくれってんだ)
…………
11.09.08〜11.10.14までの拍手お礼文でした。
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