メフィ→藤＋シュラシリーズその３。
今回は、２本立てです。




「………シュラ」

「げっ…獅郎。な、何の用だよ」

「（こいつあからさまに嫌な顔しやがって…）んだよ、用がなけりゃあ呼んじゃ駄目なのか」

「あんたは用がなけりゃあ呼ばないじゃないか」

「……可愛くねー弟子」

「あんたの弟子ですからねー」

「そうだったな…」

「（えっ、なにこのしおらしい反応！？）…………変なもんでも食った？」

「はぁ？食うわけねーだろーが」

「……らっしくねぇ面して説得力ねぇよ。
あーあ、あんたにしけた面させたって、メフィストにどやされたらどーすんだよ」

「…………っ」

「（はぁは、成る程ね）あんたってわっかりやすいよなぁ…」

「お前もな、シュラ」

「まぁあんたの弟子ですから。
―――で、何があったんだよ」

「……………」

「（無理に聞き出さない方がいいか？）獅郎、言いたくなけりゃあ…」

「―――…なぁ、シュラ」

「……ん？」

「俺……あいつが、わっかんねぇ」

「…ん」

「種族の違いとか考え方の違いとかは理解してんだ。
けどな……たまにあいつが、見えなくなるんだ」

「…………」

「解っているつもりになってただけかもな。
人である俺が、悪魔であるあいつを理解できたって、驕っていただけだったのかもな」

「んな訳ねぇだろ。
あんたが一番、あいつを理解してる。じゃなきゃ、あいつはあんたを棄てている」

「……」

「あいつは人の感情を理解できない癖して、あんたを大事にしようとしてる。
あんたがあいつを想うように、あいつもあんたを想ってるから」


種族や思想が相容れなくても、傍に居たい。
お互いにそう思ってるから、関係を受け入れたんだろ。


「――………ああ、お前の言う通りだよ。嫌ならとっくに離れてる。
でも、だからこそ」

「うん」

「なんで―――こんなこと、するんだろうな」

「―――……うん」

「言わないと解んねぇときだって、あるんだよ――…」


ちゃんと解ってやりたいと、思うのにな。


「――解ってやりたいなら、ちゃんと話し合ってこいよ。此処で立ち止まってちゃあ、いつまで経っても平行線だ。
メフィストは、あんたの言葉なら、ちゃんと耳を傾けてくれる」

「そうか……そう、だな。
……………まさかお前に慰められる日がくるとは思わなかった」

「あんたの愚痴を聞いてやれるくらいには、成長してんだよ」

「そうか。
ありがとな、シュラ。行ってくるわ」

「っ、獅郎」

「ん？」

「―――……手首と首の痕、しっかり隠しておけよ」

「…………ん」


バタン


「はぁ……らしくねぇな、アタシもあんたも」


らしくない慰めをするくらい、見ていられなかったってことか。


「（だがアレは、とても隠し切れるもんじゃない）嫉妬深いのか、独占欲が強すぎるのか……どっちにしろ、身が持たねぇじゃねぇか――」


憔悴した師の背中を思い出し、シュラは深い溜め息を吐いた。



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(3/5)
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