わざとだよ(サボ)


(※現パロ)




「やってられるかよ。」

mはもう何杯目かわからないビールのジョッキを勢いよくテーブルに置く。

「まあ、その気持ちは分かるけどな。」

同期のサボとmは居酒屋に来ていた。明日が休日だと、決まって2人は飲みに行っていた。いつも同じつまみを頼み、いつも同じ話をする。高校を卒業してからすぐにここの会社に就職して2人は出会った。入社してから4年、最初は十数名いた同期も今はこの2人しかいなくなっていた。

「ていうかお前もな、彼氏くらい作れって。」

「ほっときなさいよ。サボだって入社後初めての彼女のくせに…」

サボには3ヶ月ほど前に彼女ができていた。mは珍しく酔っ払っているのかブツブツ愚痴をこぼしている。別に俺に彼女ができてもこうして飲みに来てやっているというのに。

「俺の彼女、お前と飲みに行くのイイ顔しねェんだよ。ほら、m。そろそろ終電の時間だぞ。」

そう言うとサボは会計を済ませ、彼女の荷物を持つ。ほら行くぞ、そう声をかけても彼女は突っ伏したままだ。立ち上がれないくらいやばいのか?そう思いタクシーを呼んでしまおうかと考えていると、mは気持ち悪いと言い始めた。店で吐かれては迷惑なので、mの腕を掴んで席を立たせて外に出た。mは頭をもたれたまま、気持ち悪いとぼやいている。

「本当しょうがねェなこいつは…。」

この歳になってそんなになるまで飲むかよ、と人気のない公園へmを引っ張っていき、適当にベンチへ座らせる。mと自分の荷物もベンチへ置き、水を買おうと自販機を探した。サボがベンチへ戻ってmに水を渡すと、ありがとう、とmはつぶやき水を受け取る。mは水を少し飲み、ベンチへもたれかかった。

「おい、大丈夫か?」

「…うん、大丈夫。水ありがとう。」

「お前がそんなになるって珍しいな。」

mはベンチへもたれかかり、空を見上げている。サボもmの隣へ座る。ふと自分の腕時計を見ると、終電はとっくに過ぎていた。

「終電過ぎちまったな。」

「うん。わざとだよ。」

タクシー捕まえるか、と言いかけたサボは驚いてmを見る。mはベンチにもたれかかったまま、目線は空を見上げていた。mの放った言葉の意味がわからないほど、2人は子供じゃなかった。

「酔ってもないし、終電がなくなるまでグダグダしたのも全部わざと。サボなんて彼女と別れちゃえばいいのに。」

私のほうが、ずっと前から好きなのに。そう言ってmはサボを見る。サボはため息をついた。

「お前、そんなこと言ってあとから後悔すんじゃねェぞ。」

mが微笑む。サボはネクタイを緩め、mの頬に手を添えた。










2017/7/8
サボがヒロインのこと好きか好きじゃないのかそんなこたぁどうでもいい!それは皆さんにお任せします。
そしてサボさん当然かのように浮気


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