(※実写版についての話題有り)



テレビの画面、それも音楽番組なんざを熱心に見入っている姿に、珍しいこともあるもんだとその横顔を見つめる。すると不意にパッと目が見開き、そこからちいさな星でも瞬きそうなくらいの明らかな変化に眉をひそめた。
画面のなかの映像は、二人組の男。

「あ、つぎのおうた このひとの番だ」
「はァ?この人?」
「かっこいいー…」
「………あ ?」
「!、う…ごめんなさい……で、でもね、今映ってる左のほうのお兄さんが晋助に似てるから…」
「ついに俺と他の野郎の判別もつかなくなったか、嘆かわしいことだよ」
「ち、ちがくて!晋助に似てるっていうか……あっちの晋助に似ているお兄さんだなあって…」
「…何意味不明なこと言ってんだテメェ、その手に持ってんのも何だよ」
「!、こ、これはだめ!あっ、ちょっ!」
「…………」
「返してー!!たとえ晋助でもそれはあげらんない!」
「要らねェよテメーのツラがプリントされた紙切れなんざ(つーかこれは俺と言っていいのか)」
「か み き れ??!!ひどい!それはねぇ!万斉さんとまたこおねーちゃんにねだってねだりまくってしぶしぶ映画館まで連れてってもらって、真夏の朝からすっごい並んだ末に手に入れた超超貴重な晋助のむびちけなんだからあ!」
「……とりあえずだ、おまえ俺に黙って外出しやがったのか(あいつら一発、いや三発ぶちかます)」
「っ………!!」
「ほォ?」
「だだだって……!!どうしても晋助のちけっと…欲しくて…う、うぅ、(近いぃぃ)」
「……泣き落としなんざ通じねーぞ(可愛いなくそ)」
「だって晋助にお顔近づけられるとどきどきしちゃって、おめめが潤ってくるんだもん…」
「……」
「そっちの紙だったらこんなにまでならないよ…(買えた瞬間うれし泣きしそうになったけど)」
「…そうかい」
「でも大事なものには変わりないから返してねそれ」
「(ブチッ)」
「え、ぶち…?し、しんす…ひゃあ!ちょ、晋助!ゎ、あぅ、」









「もうお嫁にいけない……」
「…どこに嫁ぐ予定があったんだよ」
「…………しんすけのとこ?」
「なら心配無用だろ」
「もらってくれるんだ…」
「さっきから野暮なことばかり言ってんじゃねェ、おまえがどうなろうと端っからどこにも寄越すつもりなんざねーよ」
「…うん、えへへぇ……ん?、あ!ああぁ…!お兄さんの出番終わっちゃってる…」
「……懲りてねェようだな、鳥頭もここまでくるとどうしようもねーよ」
「う、!あ、ぁ…うわきじゃない!うわきじゃないもん!っぎゃあ!も、むりぃ…」



好き勝手に遊んで鳴かせてやった結果、ぐったりと脱力しちまった身体を抱き込んだままこうなった根源の紙切れを手にとった。なんだかこの中の俺が勝ち誇ったようなツラでこちらを見ているような気までする。
テメェには渡さねェ。唾でも吐いてしまおうかと考えたがぐっと堪え、床にぽいと放り投げるだけに留めたというのに、それに立腹したこいつはしばらく口を聞いてくれなかった。

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