※60話.月がきれい についてふたりが語っています









「ついにしちゃった」
「あ?何のことだ」
「ねえ、ついにだよ。ついにしちゃったよ」
「……そうだな」
「えっ!!なにについて言ってるか分かったの?!」
「…まァ、」
「…………ちゅう、したね」
「…あァ、したな」
「ちっちゃかった頃にも何回かしてたけど、ほら、わたしが転んじゃって大泣きしたときとか」
「あん時ゃおまえの泣き声で鼓膜が破れちまうかとおもった」
「む、…だからちゅーでくち塞いだの?怪我したとこ手当てするよりもまず先に?」
「……」
「…でもうれしかったなぁ。あのときも、今も」
「出来るまで随分時間がかかったもんだよ」
「その分うれしさも倍増してるもん」
「うれしいのか」
「当たり前だよ!今年一番のしあわせ」
「…おまえがそう言うなら俺ァ何も言うことねェよ」
「後悔は?」
「あるわけねーだろ、そんなもん」
「…じゃあわたしも言うことないや」
「後悔も後ろめたい想像もおまえがする必要はねェ… もう悲しくなるようなことなんざ考えなくていい」
「…ほんと?」
「本当、……俺も例外なくしあわせなんだからなァ」
「……ぅ、 …しんす、け…」
「…泣いてんのか」
「う、うぅ〜〜…」
「泣き虫はいつまでも変わらねェなあ」
「……ここの晋助がめずらしくやさしい、いたずらしてこない…」
「あ?」
「…………、」
「今更しまったってツラしても遅ェよ」
「っ!わ、わ!近いっ、ねぇ近い近い近いってばあ!」
「嫌か」
「やじゃない!です、!」
「ならいいだろ」
「い、いいけど、!よくないの!いやいいんだけどもね?!でもちょっとだけよくないのー!」
「…クク、結局どっちだよ」
「ぅ、…いい、です…」
「………あー、」
「?、し、晋助?」
「……好きだなァ」
「…!……うん」
「…どうしようもねェくらい」
「……わたしもすき、だいすき、」
「顔見てェ」
「…そしたらちゅーする?」
「……決まってんだろ」
「こ、こころの準備させて!いちにのさんで、ちゃんとかお合わせるから!」
「……」
「いぃーち、にーの…」
「…長ェよ」
「さ、えっ ん、んぅ、……」

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