After☆Story 5/9
「ほら桜柚!先輩が桜柚のこと気になってるって!イケメンだしやったじゃん!」
「え、えぇ…っ?」
(気になってるって言われても…!イケメンだからって何…?!ただチャラいだけじゃん!)
「お友達からでも全然いいからさ!メアド教えてよ!前からずっと可愛いなって思ってたんだよね!」
(友達からって?!もしかして最終的には付き合うとかそういう…!)
「あ、あの〜…いきなりはちょっと〜…」
(…どうしよう…なんかこの人怖い…!)
「ね?いいでしょ?僕じゃ不満…?」
「っ!や…やだ…!…雅樹…っ!」
「…手、離してもらえません?こいつ俺のなんで」
「ま…さき…?」
「え!ちょっと…!」
「桜柚!走るぞ!」
「え!えぇ…っ?!」
まるで映画のワンシーンみたいに雅樹が現れて…
手を引かれるままに走って…
何が起こったのかわからなくて…
さっきの雅樹の言葉が頭の中を駆け巡っていて…
心臓の音がうるさくて…
何故だかよくわからないけれど…雅樹を見てほっとしてしまったことは紛れもない事実だった……
〜〜〜〜
「はぁっ…はぁっ…!いきなり何よ…っ!」
「…はぁっ…助けてやったのに…っ…それはねぇだろ…はぁっ…」
「べ、別に助けてなんて言ってな…」
「うるせぇ!お前は俺だけ見てればいいんだよ…!」
「へ?!」
「だから!お前のことが好きだって言ってんだよ!12年ナメんな…!」
「えぇぇ!だって…!何で…っ!」
「何でお前なのかとか俺が知りたいっつぅの!理由なんかねぇよ察しろ!」
「そ、そんなめちゃくちゃな…!」
「…ま。まぁ別にだからどうするって訳じゃねぇよ…。ただお前に好きな奴が出来るまでは今まで通り…」
「…や、やだ…っ!」
「は?!やだってお前…っ!」
「何でそうやって自己完結しちゃうの?!まだ私の気持ち言ってないじゃない!」
「気持ちったって…!だってお前俺のこと…」
「好きだよ!恋愛とか正直よくわかんない!でも雅樹のことが好き!」
「なっ…嘘だろ…」
「こんなことで嘘ついてどうすんのさ…」
「だ、だって俺今まで何度もお前のこと傷付けただろうし…腐れ縁みたいに思われてるとばっか…!」
「…自覚はあったんだ…」
「っ!う、うっせ…!お、俺だって好きで口悪いわけじゃ…!」
「ふ、ふふっ…あはは!雅樹が素直だ〜!」
「!お、まえ…!人がせっかく…」
「そういうとこが好きなの!…それじゃダメ…?」
「だ、めじゃねぇけど…!だったらもう変な奴についてくんじゃねぇぞ…」
「うん!わかった!」
「おぅ……って!お前ヒールじゃん!何で言わねぇんだよ馬鹿…!」
「ば…っ!雅樹がいきなり引っ張ってきたんじゃん!」
「う、うるせぇよ!…ほら、足痛めてたら困るから手、かせよ…」
「……素直に手繋いで帰りたいって言えばいいのに…」
「あ?何だって…?」
「何でもな〜い!ねぇ雅樹!今日はどこに寄り道して帰る?」
「…駅前のクレープ屋だろ?あんだけチラシ見て騒いでたんだからどうせいつかは行くんだろうしな」
「え!いいの?!」
「今更何言ってんだよ。お前のわがままくらい聞いてやるから…その…ずっとそばにいろよ…」
「う、うん…ありがと…!」
彼氏とか彼女とかってよくわかんない。
それはまだ正直わからないし実感もないけれど
雅樹に対する“好き”が他の“好き”と違うことは何となくだけどわかった。
ふわふわしてあったかくて
この感覚がずっと続けばいいのにって
ただの幼馴染だった雅樹が一人の男の子だったことに気付いて
私を好きだと言ってくれた
このドキドキが恋ってことなのかな…?
こんな気持ち初めてで…何だか落ち着かない…
これが初恋ってことなのかな…?
ねぇ…雅樹の初恋ってどんな感じだった…?
こんな風にあったかかったのかな…?
これからもずっと雅樹といられること
凄く幸せに思うよ。
喧嘩の多い私達だけど
きっと上手くやっていけるよね…?