非日常室内編*炬燵
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一人で堂島家に置いておかれるのは何よりも怖いことだと分かった。穏やかさの温度が染みついたここは、僕には寒くて寒くて仕方ない。次第に体の震えが無視できないほどになり、僕は嫌だなと思いつつも炬燵に入ることにした。
もともと、炬燵という暖房器具が全く好きではなかった。内部に張り出した金網のせいで中は狭いし、時々熱すぎるくせに体全体を暖めることができない。それどころかへたをすると満足に足すら伸ばせないのだ。人と必要以上に密着するのも、その毛布で閉じられた空間の淀んだ感じも苦手だった。
しかしこの寒さでは致し方ない。幸い今堂島家には僕しかいないのだ。それとも、そのせいでこんなに寒いのだから不幸にも、というべきなのだろうか。
毛布をめくると、オレンジ色の光が漏れ出した。
実際に入ってみると、その中は嫌悪感に対して暖かく、思わず一息ついてしまいそうなほどだ。しかしやはり僕と炬燵というのは相性が悪いようだった。
突然、炬燵の中で誰かに足を蹴られる。僕以外いないはずの炬燵の中でいったい何が起きたのだろうと炬燵をめくると、そこには何もなかった。僕の足すら。
スーツごと太ももあたりから消失してしまったらしく、僕はもうダメだと思った。こんなダメな僕を、きっと消してくれるのだろうと、頭から炬燵に潜り込む。炬燵のヒーターは邪魔くさく、熱かった。










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