私は湊大瀬くんが大好きです。彼は私の恋人です。
そんな私は病院に今います。
傍らにはカリスマハウスの皆さんがいてくれます。
大瀬くんはいません。きっとハウスのお部屋にいるんだと思います。
私が病院にいるのは、私が大瀬くんの部屋から飛び降りたからです。体のあちこちがバチボコに痛いけれど、木々のクッションのおかげで死ぬほどではありません。
「ナマエさん、どうして飛び降りなんてしたんですか」
理解さんが、病院だからと声をひそめはしながらも怒った様子で私に尋ねます。
テラさんも、慧くんも、依央利くんも、ふみやくん……はいつもどおりぽやあっとしながら、私のベッドを囲んでいます。
私は困りました。
「大瀬くんが飛び降りるより先に私が飛び降りたら、大瀬くんは飛び降りないんじゃないかなあと思ったんです」
「その大瀬くんが何かしないようにと今天彦がつきっきりなわけよ」
「お前が飛び降りた時、大変だったんだぞ。僕も後を追う! とかって……」
「ほ、ほんとうですか!」
テラさんの言葉に申し訳なさを感じた直後の慧くんの発言に、思わず私は飛び起きました。
「お、大瀬くんが、私なんかの後追いをしようって、えっ、嬉しい、でも大瀬くんがこの世界から失われたら損失がやばい、でも、あっ、どうしよう、痛いけど嬉しい……!」
「身をよじらないの! 起き上がらない! 怪我に響くよ!」
素早く依央利くんに寝かされて、私はしぶしぶおとなしくなります。
でも、慧くんがもたらした福音のような響きが離れない。
自責とかじゃなくて、私と一緒にいるために“後を追う”って……!
皆さんには随分と叱られてしまいましたけれどね。
死のうとしちゃだめ。
怪我をしちゃだめ。
大瀬くんと一緒に生きなきゃだめ。
……って。
なんだか、おかしくなっちゃいます。こんなあったかい言葉をもらえるようなこと、何一つできていないのに。
そもそも私が大瀬くんと出会ったのも、死のうとしていたからなのに。
でも大瀬くんとしわくちゃの夫婦になるためには、生きなくちゃですよね。
私は皆さんの思いやりに「はい」と頷き、傷の痛みをこらえていました。
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