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※R18です。苦手な方は閲覧をお控えください。 一度皮膚と皮膚が触れ合ってしまえば、どちらともなく行為は続けられた。ベッドになだれ込むと、お互いがそれを止められなくて、もっともっとと身体が求める。唇が離れると呼吸を整え、またすぐにキスを交わし続ける。
繋がっていたくて、離れたくなくて。
目をつぶると涙が流れ、誤魔化すように一也の身体に手を回す。
「──わりぃ、1回出させて」
暗くても分かる一也の切羽詰まった表情に、これは現実なのかと一瞬我に返った。
何でここにいるのかな。どうして抱いてくれるのかな、なんて考えは、私の中に入ってこようとする彼の早急な動作が目に入るとすぐさま吹き飛んだ。
「痛っ……!」
生理的な感覚に思わず声を上げると、一也は驚いた顔をして動きを止めた。
「──ごめん、痛い?初めてじゃないし大丈夫かと思ったんだけど」
恥ずかしくなってさらに赤面する顔を見られたくなくて、私は顔を背けると手で覆って隠した。
私の返答を待っている一也に、言いたくないけど思い切って口にする。
「……久しぶり、だから。その……こういうことするの」
「え」
「……一也と離れてから、してないし……。入ってくる瞬間だけ、痛かっただけだから」
「……他の男とは?」
「──してないよ!離れる前に言ったでしょ……『ずっと好き』って……っ!」
だから大丈夫、と言い終わろうとする前に、途中まで入っていたものが一気に突き入ってきた。思わず息が上がる。
根元まで挿入した一也は、私に覆いかぶさるとぎゅっと抱きしめた。
「あー……やべえ」
「……っ、何が……?」
「嬉しすぎるわー……。マジで余裕ない、ちょっと我慢して」
「え、あっ……!!」
窮屈な抱擁から解放された途端、激しい律動が身体を襲う。
痛みはほんの少しだけで、後は抵抗も出来ぬまま、一也に激しく揺さぶられるだけだった。
久しぶりに感じる感覚に翻弄される。出てくるのは身体からもたらされた素直な反応ばかりで、それを抑えることも出来なくて、声にして発散させるばかりだった。
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箍が外れた、というか外した。
俺以外の男が澪に触れていないという事実を知ったら止められなくなった。澪には愛想をつかされたと今日まで思っていたから、あの夜に言われた言葉が過去形じゃなかったことをダイレクトに伝えられれば、燃えない男はいないと思う。
1回じゃ当然満足する訳がない。触ってないところなんて無いくらいに、何度も澪を求めた。
「んっ……」
起き上がり、俺の上に澪を跨らせる。完全に澪が腰を下ろして繋がると、声を上げた澪は俺に抱きついた。
「キツい?」
「……だって、深い、からっ……」
まだ動けない澪を抱き、自然と近づいた顔にどちらともなく唇を合わせる。顔が近づけば最中もずっとキスを交わし、離れている箇所や時間が少しでも無くなるようにくっつき合う。澪は上も下も塞がれている時は気持ちがいいようで、身体がすぐ反応する。
「あー……、締まる。中すげー濡れてる」
「──な、んで、いちいちそういうこと言うの!?」
澪は余裕が無いながらも反論し怒った素振りを見せるけれど、この状態では俺を煽る要素にしかならない。
俺が下から腰を打ちつけると、澪は声を上げた。
「澪も動ける?」
ゆっくりと動きを止めないまま俺が言うと、そそる顔をした澪は首を横に振った後、再び俺にしがみついた。
「私が動く、から、一也は動かないで……っ」
「何で?一緒に動いた方が気持ちいーよ」
「──私が、無理なのっ……」
澪の口調と表情からどんな心境なのか手に取るように分かるのに、わざと言わせる。そんな俺に当然気付いてる澪は、身体中紅潮させながらも俺を睨んだ。
……それも俺を煽るだけなんだけど。
どうしようもなくなった澪が動き始めたのが分かると、俺は下から一気に突き上げ澪を見つめる。
ただ可愛くて、綺麗で。
俺がそうさせてるんだって思うと、更に愛しさが込み上げて動きを増した。
──伝わっているんだろうか。
俺がこんなにも澪を欲しがって、必要としてるってことに。
言葉にするよりも先に、触れ合って、伝わっていればいい。
体位を変え、後ろから攻めると澪の嬌声が大きくなった。顔が見えないことをいいことに触りたいだけ触ると、澪の身体がいちいち跳ねる。
「もうどこ触ってもすげえ反応するのな」
「や……もう声出るから、ダメ……っ」
澪はそう言うと、俺の方に顔を向けた。隣室に声が聞こえるのを気にしているのか、何回も行った行為で理性が崩れそうになっているのをすんでのところで堪えている。俺は澪の顔が近づいたのをいいことに、濃厚に唇を塞いだ。
「んっ、ん……──っ!!」
今まで離れていられたことが信じられない。
離したいとも思わない。
同じ気持ちを伝え合うように、一晩中お互いを確かめ合った。
2017.11.10