02 再会 2


 高校最後のインターハイで玲奈ちゃんと再会した。2年振りに会った彼女は、髪形がショートカットから肩上のボブになっていて以前よりも女の子ぽかった。明るくハキハキと喋る姿や、にっこりと笑うその笑顔は昔と変わっていない。


「牧さん、さっきの子誰っすか?もしかして彼女……!?」


 玲奈ちゃんと話した後、後輩で1年の清田が隣に寄って聞いてきた。頭に三角の耳、長い尻尾でも付いてるかのようだ。じゃじゃ馬め‥と心の中でごちながら敢えて清田の方は向かずに答える。


「仲が良い先輩の妹さんだよ。東京の秋月高校って知ってるだろ?海南と毎年練習試合をしてるんだが、玲奈ちゃんは秋月高校出身の兵藤聡司さんの妹なんだ。聡司さんと1年の時仲良くなって、家に遊びに行った時に玲奈ちゃんと会ってな、それからだ。別に彼女じゃないぞ」


 彼女ではないと分かって清田のテンションは少しばかり落ちたが、まだ玲奈に興味があるのか尚も牧に話し掛ける。


「でもあの子可愛いっすよねえ!!インターハイ来てるってことは、バスケ出来るし、可愛いし。彼氏いるんすかねえ?」


 牧はため息をついて清田を横目で見た。


「……清田、聡司さんは名字が兵藤ってさっき言ったろ。兵藤聡司。知らないか?」


 清田は逆に質問され面喰らうが、記憶を掘り起こしてみる。


「……知らないっす。有名な人なんすか?」

「そうか。じゃあ兵藤啓介。この人なら知ってるだろ」

「!!知ってますよ!大学、社会人リーグと活躍してるバスケットプレイヤー!新人王も取って!!‥って兵藤?えぇぇぇぇ!?」


 清田の声が段々とでかくなっていたため、周りにいた海南メンバーも牧と清田の会話を聞いていた。聞くというより聞こえてしまっていた。その為海南部員が一斉に牧の顔を見る。


「玲奈ちゃんは兵藤啓介、周平、聡司さんという兵藤3兄弟の妹だよ。玲奈ちゃんの彼氏になるならそれも踏まえた上で、だな」


 清田は口をぱくぱくしながらあ、とかう、とか言っている。
 兵藤3兄弟はバスケット界ではかなり有名だ。兄弟全員バスケット選手で、長男の啓介は社会人リーグ、次男の周平、三男の聡司は大学1部リーグで活躍している。その下の妹が玲奈ちゃん、というわけだ。


 2年前兵藤家に遊びに行った時、長男の啓介さんが玲奈ちゃんと1on1をしていたが、女の子相手とはとても思えなかった。玲奈ちゃんも相当な負けず嫌いのようで、啓介さんに勝つまで勝負を挑んでいた。

 負けん気が強い奴は成長する。玲奈ちゃんが上手くない訳ないのだ。6歳年上の啓介さんに、絶対勝ってみせると挑み続けるあの姿は、今でも鮮明に牧の心に残っていた。




2011.10.9



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