2012 Winter(神)
「神くん!!おはよう!!」
冬休み明けの教室で、机に荷物を置いた途端声をかけられた。
「おはよう」
振り向くと顔を真っ赤にした俺の想い人が。
「じ、神くん、あのね。私ずーっと気になることがあってね」
一瞬、どきっとした。
「……うん、どうしたの?」
「えーっとね、ちょっと言いにくいんだけど……」
「……場所変える?」
俺の言葉に彼女はぶんぶんと手を振った。
「!いや、そんな大層な事じゃないの!あのね……」
意を決した彼女は、胸に握りこぶしをつくった。
「じ、神くんのお家にコタツある?」
「……え?あるけど……」
「神くんてコタツに、どう入る?」
「……え?」
「神くんは身長190あるんでしょ?だからコタツにもぐれるのかな、って。コタツの中で足伸ばすと、足がはみ出ちゃったりしないの?」
……俺は心の中で溜息をつく。ガクッときた。
でも彼女には普通を装う。
「確かに深くはもぐれないよね。いつもは上半身起こして暖まってるよ。座る場所も考えないと足出ちゃうし。家は長方形のテーブルだけど、正方形タイプだとちょっと厳しいかも」
俺の言葉を聞くと彼女は顔がぱあっと晴れやかになった。
「そうだよね、そうだよね!!家でコタツ入ってる時にふと、神くんてどうやってコタツに入るのかなって考えちゃったら止まらなくて!!あー、すっきりした!ありがとう神くん!!」
彼女は晴れ晴れとしているけど、俺の心中は正直複雑だ。
違う事を期待したじゃないか。
……でも、まあいいか。
冬休みの間、俺のこと考えてくれてたって事だろ?
神くらい身長が高いとコタツにどうやって入るんだろう、と疑問に思って思いついたネタです。実際どうなんでしょ?私の周りに身長高い人いないしなあ。