01 再会 1


 全国高校総体ーインターハイー。
この開会式の会場で、玲奈は彼と2年振りに顔を合わせた。


 開会式が終わり、退場する途中で後ろからポンと肩を叩かれ振り返る。


「玲奈ちゃん、久し振りだね」

「!牧さん!ご無沙汰してます」


 『彼』は優しい笑みをたたえて立っていた。肌の色は黒くて左目下の泣きボクロが印象的。前髪がオールバックからセンター分けになっており、以前会った時よりも若く感じられた。高校3年生に対して「若い」と言うのも変な話だが、彼にはそう形容した方がしっくりくるのだ。

 
 その男――神奈川県海南大付属高校の牧 紳一は、全国でも名の知れた選手だ。バスケットボール雑誌の高校生特集には必ずと言っていい程名前が載っている。
だが玲奈は牧と同じ高校でもなく神奈川県女子の部代表でもなかった。牧と玲奈がこうも気安く話せるのにはある理由があった。



「玲奈ちゃん昨年は全国来てたっけ?」

「昨年は都の予選決勝リーグ敗退でした。今年は優勝して全国来ましたよー」

「そっか、都大会優勝おめでとう。聡司さんは元気?」

「聡兄は相変わらずです。牧さんも県大会優勝したみたいで、流石ですね」



 立ち止まって話をしていたせいか、出口の辺りから玲奈を呼ぶ声がする。

 
「すみません。それじゃあ失礼します」

 牧にお辞儀してニコリと笑った。

「ああ。お互い頑張ろうな」



 挨拶を済ませると、玲奈はチームメートと合流した。その内の1人、小学校からの友人である笹川絵梨が牧を遠目に見ながら話し掛ける。


「今話してたのって……海南の牧さんだっけ。知り合いだったんだ」


 少しだけびっくりした様子だが、其ほど興味もないという感じで。


「うん。聡兄が通ってた高校って、毎年練習試合を海南とやるんだ。それが縁で聡兄と牧さんが仲良くなって、家に来たことがあって。初めて会ったのは中3の時かな。今日は久し振りに会ったけど」



 知り合う経緯を説明すると昔の記憶が蘇ってくる。
 兄の聡司の1つ下で私の1つ上の男の子。2年も会わないと雰囲気も佇まいも結構変わるもんだな、と玲奈はただ単純に感じていた。




2011.10.9



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