押し倒される
「ちょ、ちょっと待ってよ!る、流川くん!!」
なんでこんな状況になってるのか。流川くんの部屋に連れてこられた私は流川くんに押し倒され、服を剥ぎ取られそうになるのを阻止しながら必死に考える。そうだ、あの場面を見られたからだ。
別にやましい事なんてありはしない。休日に服でも買おうと街へ出て、ウィンドーショッピングをしながら歩いていたら同じクラスの男子と出くわした。ちょっと立ち話をしてたら盛り上がってしまって、一緒に昼ご飯でも食べようか、ということになった。
彼氏はバスケ部の練習中でバスケ馬鹿。ご飯くらいならいっか、同じクラスの子だし。と思ってご飯屋さんまで歩いていたら後ろから腕を引っ張られた。
驚いて振り向くと彼である流川くんがそこにいた。一緒にいた男の子も私の彼が流川くんだと知っている。みんな同じ学年だし。
でも流川くんは何か勘違いしているようだった。一言も発さず私の腕を引きながら、ずんずんと逆方向に歩いて行く。私は後ろを向き、さっきまで一緒にいた子にゴメン、と声を出さず手を上げて謝った。
――で、今に至る。
とりあえず流川くんの誤解を解かないといけない。流川くんはうつ伏せになって脱がされまいとしている私の身体を強めに撫でながら、未だ私に覆いかぶさっている。
「流川くん、部活は……!?」
「……体育館の点検が入ったとかで急遽自主練になった。で、バッシュ見に行ったらお前に会った」
「あ、そーなんだ……。てか、流川くん誤解してる!!さっきの男の子とは偶然会って、ただそれだけ!!だから落ち着いて、ね!?」
「……どっか行こうとしてたじゃねーかよ」
「あれはご飯食べようってだけで――んっ……」
私の言い分を最後まで聞くことなく、流川くんは私の身体を反転させると、唇を塞いだ。
深いキスが続く。
やっと唇が解放されたと思ったら、私の服の下に手を入れようとしていた。
「や、やだってば!」
私の抵抗に、流川くんは益々不機嫌になった。
「……俺に抱かれるのが嫌なのかよ」
私は慌てて首を振る。
「違うー!誤解されたまま抱かれるのが嫌なの!」
やっと流川くんの動きが止まった。私はすかさずここに来るまでの出来事を話した。流川くんの部屋のベッドで、流川くんの顔を見上げながら聞きたかったことを聞いてみる。
「やきもち……妬いてくれたの?」
顔の向きはそのままで、私から少し目線を外すと、流川くんが呟いた。
「……わりぃーかよ」
初めて見る流川くんの様子に、可笑しいようなくすぐったいような。私は思わずくすくすと笑ってしまった。
「――嬉しい」
私の言葉に目を見開いた流川くんは顔を少し赤くした。
「……他のヤローについてったりするんじゃねーぞ」
「はいはい」
私は笑いが止まらない。そんな私の様子にふてくされたような流川くんは、私の身体をまさぐり始めた。
2012.10.9
あとがき
このお話は1000hitリクで頂いたツンデレ流川をヒントに書いてみました。
いーですねえ!ツンデレ流川!私ハマりそうです。書いてみたら妙にしっくりくるこの感じ(笑)楽しんで書かせて頂きました。
ツンデレシリーズとか良さそうですね……。他のキャラでもまた違った感じになりそう。