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「付き合ってほしいんだけど」


見上げた彼のその面立ちはまるで幼い頃夢に見ていた王子様のようなのに、その言葉に似合わない仏頂面でこちらを睨み下ろす姿はこれが本当にあの及川徹なのかと疑うほどだった。

っていうか、ええええ〜〜っ……付き合ってほしい、って私と!?
今教室には私と及川君しかいないし勘違いとかじゃないよね…。
だけど及川君とは同じクラスって事しか共通点もないし挨拶を交わす程度だ。
あ、そういえばこの間ノート貸してあげたっけ…だけど接点なんてそれくらいだよね。
まさか罰ゲームとか…いやいや、そんなに性格悪くないか。女の子にモテモテの及川君が悪戯に女の子を傷つけるようなことはしないはず。まぁ私が女の子と認識されてないのなら話は別だけど…。
もしかして練習に付き合ってほしいの意味だったり?いややそんなに接点の無い私が付き合えることなんてあるわけ……


「で、どうなの?」

「は、はい!!!」

「……そっか。じゃあそういう事だからさ、これから宜しくね〜」

「え!?あ、はい!?ちょっ、及川君!?」

「俺部活あるから。暗くならないうちに帰んなよね」

「あ…はい……」


バン、と勢いよく閉められた教室のドアが衝撃で跳ね返る。
私の目を見ることなく早口に別れを告げた及川君に口を挟む暇もなかった。
って……咄嗟にはいって言っちゃったけどこれって及川君とお付き合いする流れなの…!?
ええええ!!えええええ〜〜〜!!?


2014.1.14



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