入学式が終わり、一週間がたった。俺は普通の学校生活を送りたかったので大人しくすごしていた。たまにクラスメートとも話したり授業も比較的真面目に受けていた。だがしかし日常生活の大半を莉央と過ごしていたため、クラスの中でも可愛いと言われている莉央と常に一緒にいた俺に嫉妬した男子が俺の陰口を叩きやがったため、当然俺はイラッときてキレて教卓をクラスの男子目掛けてぶん投げた。まあそいつらには運よく当たらなかったが教卓は教室の後ろの壁に減り込んだ。それっきり一切陰口は無くなった訳だがやはりクラスメートには恐れられ疎遠になってしまった。だが莉央は当たり前のように俺に近付いてきて話し掛けてくれる。そしてそれから2ヶ月くらい経った今日もまた、そんな莉央と過ごした。

「静くん、一緒に帰ろう」
「ああ」

莉央が担任に頼んでくれたのか、俺の席はいつも莉央の隣で窓際の1番後ろの席だった。莉央はさっきも言った通りクラスの中では可愛い、というかクラスの中じゃなくても俺は1番可愛いと思う。贔屓じゃなくて本当に。しかも誰にでも優しく人懐っこいため作ろうと思えば他の友達なんていつでもすぐ作れるはずなのに、俺と一緒にいることを選んでくれている。俺はそのことに安心感を覚えつつ、俺達は教室を後にした。

「お腹空いたねー」
「お前さっきチョコかなんか食ってただろ」
「だってー」
「だってじゃねえだろ、だってじゃ」
「あ!今日夕飯オムライスだよ!食べに来てくれる?」
「行く。ってか俺の言葉はスルーか」
「まあまあ、とろふわ卵のオムライスにするから」
「なら許す」

莉央はたまにこうやって夕飯に誘ってくれる。一人暮らしだから一人でご飯を食べるのが寂しいそうだ。莉央の作ったご飯は美味しいし何より好きな人からの誘いを断る訳がない。たまに幽も呼んで三人で食べたりもするのだが、今日は幽は親と出掛けるらしく、家にはだれもいないので正直誘ってもらって本当によかった。ちらり、とご機嫌そうな莉央の顔を横目で見て俺もなんだか嬉しくなった。ああ好きだ、どうしようもなく。俺はいつまでも――この笑顔を守りたい。そう強く思った。





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