なんで、なんでなんでなんで!どうして莉央があのノミ蟲と一緒に歩いてやがる!どうして俺にも見せたことのない顔で笑いやがる!どうしてそんな優しい声であいつの名前なんて呼びやがる!!なあ、お前は俺のモノだろ?そうだよな、莉央?
莉央があいつと別れて家に帰ろうとした。まだ莉央は俺に気付いちゃいない、あー早く気付け気付け気付け!心の中で叫んでも莉央は気付かない、じれったくなり腕を掴んで呼び止めた。振り向いた莉央はひどく怯えた顔をしていてイライラする。でもその怯えた顔すらも愛しく感じ、微笑んで優しく優しく問い掛けた。
「なんでお前はノミ蟲と一緒にいたんだよ」
そしたら莉央はこう言った。
(貴方には関係ないわ!)
関係ないだって?俺はお前が好きで好きで好きで好きでたまらねえのにこんなにも愛しているのに!お前をこんな風にしたのはだれだ、やっぱりノミ蟲か。ああイライラする!やっぱりあいつを先に殺っとくべきかでも俺が莉央から離れたらきっと淋しがるよなあ、うん。莉央が俺が掴んだ腕を振りほどこうと必死に力をいれる。俺はそんなことお構いなしに掴んでいないほうの腕をそっと莉央の腰に回し引き寄せ、耳元で優しく囁いた。
「愛してる、」
莉央の大きな瞳からこぼれ落ちた涙をすくうようにそっと口づけた。
はやくはやく
俺の愛に気付いて
(もう幸せだったあの頃には戻れない)