「好きだよ」

俺がそういうと必ず決まって彼女はこう言う。

「私もよ」

彼女のいつも通りの返答に俺は口許をいびつに歪ませて微笑んだ。一体何度このやり取りをしたのだろうか、考え出すとキリがない。一定の声音で、ぴくりとも表情を動かさず、何も映さない瞳で。俺はそれでも全然構わない。だって俺が愛してるんだから。彼女が俺を愛していなくても俺が彼女を愛していれば彼女は俺から離れないし、たとえ歪んでると言われても俺の愛は変わらないし愛し方を変えるつもりもない。彼女の心を壊したのは誰だ?俺だ。いつの間にか俺の中で特別になっていた彼女は俺に振り向くことはなかった。だから追い詰めて追い詰めて追い詰めて、逃がして追い詰めて。俺だけしか考えられないようにしてやった。一回だけ逃げられたんだけど俺ってば彼女のことはなあんでもしってるからさあ!すぐに迎えに行ってあげて震える彼女をそっと抱きしめて耳元でおかえり、って囁いてあげたよ!そしたら震えも止まってさあ、彼女は俺だけのお人形さんになったのさ。ああ震える彼女もそれはもう可愛かった!だけどね、もう逃がしてあげない。というか彼女はもう逃げられないんだよね。
俺は彼女の赤黒く腫れた足をそっと撫でた。ふいに、頬に柔らかい感触。彼女の手だ。どうしたんだ?視線を上げてみると彼女の顔がぼやけて見えると同時に頬に冷たい感覚。あれ?おかしいなあ、なんだよこれ。困ったなあ、とまらないよ。

「…っふ、うぅ………!」

静かな部屋に俺の嗚咽が響き渡る。ああ、わかった。俺はこんなの――――望んじゃいなかったんだ。今更なんで気付くんだよ…………もう、戻れないのに。



誰が壊した

    マリオネット



(ゴメンナサイ、なんて)
(もう遅いけど)


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最初はもっと臨也病んでたんですが、ね。
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